温暖化ガス排出量を把握せよ GXツール最前線
温暖化ガス排出量を把握するためのGXツールの最前線を紹介する記事
専門家の視点
地球温暖化対策において、企業が自社の排出量を「見える化」することは、もはや選択肢ではなく条件になりつつあります。しかし、排出量の計測ツールが普及し始めた現在、ここで立ち止まるべき構造的論点があります。それは、「測定した数字を誰がどう使うのか」という実行レイヤーの欠落です。多くのツールは算定プロセスを効率化しますが、その先の削減計画策定やサプライチェーン全体への展開、さらには削減実績の検証(KPI達成)までを一貫して支援できているかは別問題です。制度面では、GHGプロトコルに準拠したScope3算定が求められますが、実際には一次データの取得が困難で、多くの企業は業界平均値を用いた「推定値」に留まっています。これは、実体(測定可能な数値)と物語(削減へのコミットメント)にズレが生じる典型例です。現状、ツール導入は進んでいるものの、それが実際の削減行動や投資判断に直結しているとは言いがたく、期待先行の様相を呈しています。隠れた前提は「計測さえできれば削減は自動的に進む」という楽観です。