ネットゼロに取り組む企業の実態|宣言と実行のあいだにある3つの壁 – SDGs特化メディア-持続可能な未来のために
ネットゼロに取り組む企業の宣言と実行の間に存在する3つの壁について解説する記事。
専門家の視点
ネットゼロ宣言をした企業のうち、実際に排出量を削減できている割合は3割程度というデータが先行研究で示されています。宣言と行動の乖離は、可視化できる外部目標と見えにくい内部構造のズレに起因します。 具体的な3つの壁として挙げられるのは、第一に「Scope3まで含めたサプライチェーン全体の排出量算定の難しさ」、第二に「脱炭素投資と短期的な収益性のトレードオフ」、第三に「社内横断的な推進体制の欠如」です。ここで注目すべきは、これらの壁の多くが技術的制約ではなく、組織の設計や評価制度といった「実行主体の設計ミス」に由来する点です。 物語(「宣言すれば動き出す」という期待)が実体(削減には経営システム全体の組み替えが必要な現実)を先取りしている典型例と言えます。特に、Scope3の算定が進まない理由はデータ不足だけではなく、「誰が責任を持って取得・管理するのか」という実行レイヤーの設計が未整備な点にあります。 隠れた前提を問い直すなら、「ネットゼロ宣言は経営トップのコミットメントがあれば社内に浸透する」という思い込みです。現実には、現場のKPI構造が従来型のままだと、宣言は形骸化します。