ESG・金融

企業活動が生む格差・不平等の開示、TISFDが枠組み開発へ

日本経済新聞 2026-07-02
TISFDが企業活動が生む格差や不平等に関する開示の枠組み開発に着手したことを報じている。

専門家の視点

TISFDが企業活動と格差・不平等の関係を開示する枠組み開発に着手したという発表の裏側で、実体の側面では格差の測定・評価手法が未確立という大きなギャップがある。社会的不平等はCO2と異なり単一指標で測れず、「何を開示するか」の定義段階で利害関係者が対立する可能性が高い。物語は「社会課題への企業責任」と明確だが、開示の目的を投資家向けリスク情報とするのか、市民への説明責任とするのかが未整理であり、実効性の検証経路が示されていない。期待についてはESG投資の文脈で開示枠組みへの期待が先行しやすいが、現実には人材や監査体制の不足で「開示疲れ」を招くリスクがある。ここで隠れた前提を問い直せば、「全ての社会的問題を企業開示で解決できる」という発想自体が、政府の社会保障や税制の役割を縮小させる副作用を持ちうる。構造の中心は実体欠落と期待先行の共振であり、次に見るべきはこの枠組みが「測定できるものだけを開示対象にする」のか「本来測るべきものを開発する」のかの選択です。

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