ESG・金融

【国際】MSCI、米ファースト・ストリート買収。気候物理的リスクデータプロバイダー

2026-07-02
MSCIが気候変動物理的リスクデータプロバイダーのファースト・ストリートを買収し、機関投資家や企業向けサービスを強化する。

専門家の視点

MSCIによるファースト・ストリート買収は、気候変動の物理的リスクを投資判断に組み込む「実体」が急速に具体化した動きです。米国では洪水・山火事リスクが不動産価格や保険市場に現実の損失として現れており、データの需要は確固たるもの。しかし「物語」にはズレがあります。ファースト・ストリートのデータは主に米国をカバーし、不動産に特化しています。MSCIはこれを「グローバルな物理リスク評価基盤」と位置づけますが、欧州やアジアのデータカバレッジや、サプライチェーン全体への適用可能性は不透明です。世界の投資家がESG評価に求めるのは、ポートフォリオ全体の網羅性ですから、この買収だけでは「物語」が実行レイヤーに届いていません。「期待」は先行気味です。MSCI株や競合他社への市場反応は肯定的ですが、データの品質検証や基準統一といった制度面での進展がなければ、投資家は「分析のための分析」に陥るリスクを抱えます。構造的な論点は、「物理リスクデータを誰が標準化し、監査するのか」が不在なこと。買収でツールは増えても、開示を義務づける制度と、それを解釈できる人材が伴わなければ、実体は物語に追いつけません。

金融情報世界大手米MSCIは6月24日、不動産を対象とした気候変動物理的リスクデータプロバイダー米ファースト・ストリートを買収したと発表した。機関投資家、金融機関、企業向けの提供サービスを強化する。 ファースト・ストリートは、気候リスク財務モデリング(CRFM)というカテゴリーを構築。観測された事象に基づいて検証されたマルチハザードモデルを構築し、現在と将来の物理的リスクへのエクスポージャー、資産損害、事業中断を評価している。 ファースト・ストリートは現在、世界中の20億棟以上の不動産を対象に、気候変動物理的リスクの定量評価データを提供。MSCIは今回買収したことで、これらのデータセットをMSCIの既存ツールに統合していく。 ファースト・ストリートの独自調査によると、過去20年間で、異常気象の発生後に企業が業績下方修正を発表する確率は6.5倍以上高まっているという。MSCIは今回、異常気象や地政学的混乱により、アセットの立地が投資リスクや機会を評価する上で重要な要素となっている中、銀行、保険会社、運用会社、アセットオーナー、企業にとって、立地に基づくリスクを分析し行動する能力が、将来の成功を左右する重要な決定要因となりうると伝えた。 【参照ページ】MSCI Acquires First Street to Enhance Physical Climate Risk Capabilities for Financial Decision Making ※ 閲覧チケットは翌月への繰り越しはできません。 【無料会員向け】有料記事の閲覧チケットの詳細はこちら 株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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