再エネ・技術

一般社団法人環境金融研究機構 | Research Institute for Environmental Finance: RIEF

2026-07-03
川崎重工業が川崎市で商用規模の液化水素基地「川崎LH2ターミナル」を建設し、液化水素運搬船建造等の水素サプライチェーン構築の実証事業を進めている。

専門家の視点

川崎重工の液化水素基地建設と運搬船建造は、水素サプライチェーンの実体が着実に動いている証拠です。しかし、ここで問われるべきは実体の持続可能性ではなく、物語と期待の整合性です。 実体として、商用規模のターミナルと大型運搬船の建設は物理的に進行しています。これは脱炭素社会に向けた「積み上げ」として評価できます。しかし、物語(脱炭素ビジョン)では、液化水素の製造時にCO2が発生するという前提が置かれています。現状、日本は大量の水素を輸入する計画ですが、その製造過程(例:褐炭由来の水素)におけるカーボンフットプリントが明確に可視化されていません。この「製造側の実体」が物語の中で省略される構造があります。 期待のレイヤーでは、政府の水素基本戦略や投資家のグリーンウォッシュ懸念が先行しています。しかし、市場は「供給側のインフラ整備」だけに着目し、需要側(水素の実際の使用用途の拡大やコスト競争力)の実体が追いついていません。川崎市のターミナルは2030年以降の本格稼働を見込みますが、その時点で水素の価格が天然ガス並みになる保証はなく、実体と期待のずれが将来のリスクを生みます。

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