デイリーコラム | 「高市政権の産業政策(重点投資17分野の設定)」③
専門家の視点
EUが気候変動対策に主眼を置きつつもウクライナ戦争やホルムズ海峡危機で修正を迫られた点は、世界の産業政策が「実体」である地政学リスクやエネルギー安全保障によって常に軌道修正される構造を示しています。米中欧いずれも巨額投資を掲げますが、その「物語」は国内回帰・科学技術強国・グリーン変革と異なり、統一された方針にはありません。そして日本の高市政権は、この国際的な流れの中で「どこに投資を集中すべきか」という「期待」を背負わされています。 ここで見逃せないのは、記事が「産業政策の世界的流行」という物語を強調するあまり、各政策の実行主体や実現性への言及を省略している点です。例えば米国の製造業回帰は実際には人材不足やサプライチェーンの現実で遅延しており、中国の計画も対立激化で変質しています。つまり「物語先走り」の状態にあると言えます。 結論として、高市政権の成否は「重点投資17分野」の物語の大きさではなく、それを実行に移す制度設計と人材育成という実体がどれだけ備わっているかにかかっています。
世界では、社会主義国だけではなく資本主義国においても、特定産業(例えばAI関連、核融合、航空宇宙など)に投資を続ける産業政策が、一種の流行になっている。 米国では、民主党政権(バイデン政権)、共和党政権(トランプ政権)に関わらず、巨額の産業投資が行われている。例えばトランプ政権の掲げる「アメリカファースト」も、製造業の国内回帰を狙った政策をフレーズ化したものであろう。 計画経済である社会主義国の中国では、10年ほど前に「中国製造2025」を掲げ製造強国、科学技術強国を目指している。これは、結果的に米国をはじめとする西側諸国の警戒心を呼び起こすことになったが、現在に至るまで堅持されている。尚、EVでの躍進も、この政策の奏功事例であろう。 またEUでも、グリーントランスフォーメーションやデジタルトランスフォーメーションを中心とした、巨額の産業投資を行っている(気候変動対策に主眼がある)。但し、2020年の投資開始後に、ウクライナ戦争やホルムズ海峡危機などがあり、実際の取り組みに変更、修正が生じていると考えられる。 このように、巨額の財政出動をともなう成長投資強化の流れは世界的に続いており、ここでの高市政権のかじ取りが注目される。 YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。 YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。
本文は配信元の記事から取得した抜粋です。
配信元の記事を読む →