制度・政策

【国際】IEA会合で各国政府、日本含む省エネを政策中核に位置付け。ホルムズ海峡危機受け

2026-07-02
IEA会合で各国政府がエネルギー効率化を政策の中核に位置付ける共同声明を発表した。

専門家の視点

IEA会合で省エネが政策中核に位置付けられた背景には、ホルムズ海峡危機という地政学的リスクがあります。実体として、中東からのエネルギー供給途絶リスクが物理的に顕在化し、供給サイドではなく需要サイドの効率化で対応せざるを得ない構造に各国が直面しました。しかし、省エネ政策は導入宣言と実行の間に大きな非対称性があります。制度は早く整備されても、工場・ビル・家庭という末端の行動変容を伴う実行レイヤーの人材・インセンティブ設計は遅れがちです。ここでのズレは「物語先走り」です。共同声明という物語は壮大ですが、日本を含む各国で省エネ法の実効性や補助金の浸透率といったKPIに照らした検証が不十分なまま、政策の主流化だけが前方に進んでいます。また、記事が当然とする「省エネ=最優先の対策」という前提を問い直せば、省エネ単体では供給断絶そのものを防げないという構造的限界があります。石油備蓄や燃料転換といった供給側のリアルオプションとの両立が不可欠ですが、そちらの議論は後景化しがちです。

国際エネルギー機関(IEA)は6月29日、カナダ・モントリオールで開催した第11回エネルギー効率化グローバル会合で、各国政府がエネルギー効率化をエネルギー政策の中核に位置付ける共同声明を発表した。中東での戦争に伴い、ホルムズ海峡を通じた海上交通がほぼ停止し、原油、石油製品、LNG等の国際市場に影響を及ぼす中、エネルギー価格変動への耐性強化とエネルギー安全保障の確保を掲げた。 今回の声明には、日本、カナダ、フランス、ドイツ、英国、韓国、欧州委員会等が参加。各国政府は、2030年までに世界のエネルギー効率改善率を倍増させる2023年の国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)での合意を再確認し、将来のエネルギーショックに対する長期的なレジリエンスを高めるため、エネルギー効率化を政策の柱とする方針を示した。 同声明では、脆弱な家計や中小企業がエネルギー価格の変動で大きな影響を受けやすいと指摘。低所得世帯等を含むすべての人がエネルギー効率化の便益を享受できるよう、短期的な負担緩和と長期的なレジリエンス構築の双方に資する政策を実施する必要性を強調した。中小企業についても、エネルギー効率化支援を拡大する考え。 重点分野としては、建物の冷暖房とデータセンターを含む電化分野を挙げた。建物は世界のエネルギー需要の約30%を占め、家電は建物部門の電力需要の約45%を占めるとし、建物・機器のエネルギー性能基準や金融インセンティブ、ヒートポンプ、効率的な地域冷暖房ネットワークの重要性を指摘した。 電化については、冷暖房、産業プロセス、車両、デジタルインフラ等で電力需要が増加する中、システムコスト、ピーク需要、信頼性、柔軟性、価格負担を管理する上で、効率的でスマートな電化が不可欠とした。特に人工知能(AI)の利用拡大に伴うデータセンター需要に関し、世界のデータセンター電力消費量は2030年までに2倍超に増加する見通しとし、柔軟性、廃熱回収、高効率技術の導入等を通じた効率化を検討する。 また、国連気候変動枠組条約第31回アンタルヤ締約国会議(COP31)議長国のトルコは今回、建物分野のエネルギー効率化目標の策定を支援する特別レポートの作成をIEAに委託すると発表。IEAは今後、各国政府による政策設計、実施、データ分析、進捗追跡を支援する。 【参照ページ】Governments around the world commit to making energy efficiency a cornerstone of energy policy amid Strait of Hormuz crisis 【画像】IEA ※ 閲覧チケットは翌月への繰り越しはできません。 【無料会員向け】有料記事の閲覧チケットの詳細はこちら 株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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