再エネ・技術

ENEOS根岸製油所へのHVO輸入について

eneos.co.jp 2026-07-02
ENEOSが横浜・根岸製油所へHVOを輸入し、環境価値の取扱いにマスバランス方式とBook and Claim方式を採用する動きを報じている

専門家の視点

HVOの大規模輸入という物理的な動きは、既存インフラを活かしたバイオ燃料普及において確かな一歩です。しかし「Book and Claim方式」で環境価値を証書化し、需要家が現物を使わずに脱炭素を実現できるという点に、構造上のねじれがあります。実体としての燃料供給は進んでいるが、物語が強調する「脱炭素貢献」は実際の排出削減ではなく、帳簿上の価値移転に過ぎません。このズレは、需要家にとって「何を買っているのか」という問いを曖昧にします。期待先行の市場では証書の取引が拡大するでしょうが、実体としての大気中のCO2削減には直接結びつかない可能性があります。根岸製油所にHVOが入ったという事実は確かですが、それをどう評価するかは、環境価値証書を「削減手段」と見るか「削減証明」と見るかの違いに委ねられています。Book and Claim方式は排出削減の代替手段ではなく、あくまで排出量の会計手段です。需要家が本当に削減したいのはCO2そのものか、それとも脱炭素証明書か、という選択が次なる構造的な分岐点です。

~既存インフラを活用したバイオ燃料サプライチェーンの構築~ ENEOS株式会社(以下、ENEOS)は、バイオ燃料の普及と脱炭素社会の実現に向けて、HVO(Hydrotreated Vegetable Oil:水素化処理植物油)*¹を、ENEOS根岸製油所(神奈川県横浜市)に輸入しましたので、お知らせいたします。ENEOSはHVOの環境価値を、マスバランス方式*²Book and Claim*³方式を用いて需要家に提供してまいります。 SAF*4の連産品であるHVOは、既存の化石燃料由来の軽油と比較して、ライフサイクル全体で非常に高い温室効果ガスの削減効果が見込まれます。また、軽油と同等の性状を有するため、既存の設備との親和性が高いことから、根岸製油所の既存のタンクにHVOをそのまま受け入れ、既存の燃料と混合して出荷することが可能となります。 HVOの環境価値は、ENEOSが帳簿上で適切に管理し、証書として需要家へ提供します。これにより、需要家は実物のHVOを使用せず、既存の燃料をそのまま使いながら脱炭素化の取り組みを実現できます。結果として、HVO専用の新たなインフラ投資が不要となり、幅広い需要家へのバイオ燃料の普及促進が期待されます。 (写真:根岸製油所におけるHVO搬入の様子) 今回の、燃料運搬船(タンカー)による製油所への大規模なHVOの輸入は国内初となります(当社調べによる)。 ENEOSは、グループの長期ビジョンに掲げる「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」の両立に向け、挑戦を続けています。その一環として、和歌山製造所におけるSAF製造を軸に、原料調達から自社製造、販売までを網羅する一貫体制の構築を検討しています。 今後も、SAF、HVOなどの低炭素燃料のサプライチェーン構築ならびに普及促進に取り組んでまいります。 *1 HVO(Hydrotreated Vegetable Oil)水素化処理植物油 廃食油等の油脂を水素化処理して製造されるバイオ燃料。 原料調達から製造・流通に至る過程において、低炭素原料由来の製品と既存製品をサプライチェーン上で混合のうえ、環境価値を帳簿上で管理し、環境価値証書等を用いて製品に割り当てる方式。 低炭素原料由来の製品の環境価値を、現物の燃料から切り離し、帳簿上で管理し、環境価値証書等により需要家へ移転する仕組み。 *4 SAF(Sustainable Aviation Fuel) バイオマスや廃棄物等を原料として製造される持続可能な航空燃料。従来の航空燃料と比較して、ライフサイクル全体で温室効果ガス排出量の削減が期待される。 【本件に関するお問い合わせ先】 ENEOS株式会社 広報部メディアリレーショングループ pr@eneos.com

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