脱炭素製品・サービスの需要創出へ 新たな「評価・表示」制度を検討
専門家の視点
脱炭素製品の需要創出という政策課題に対し、新たな「評価・表示」制度の検討が始まりましたが、ここには物語先行の構造があります。実体として、既存のカーボンフットプリント表示やエコラベル制度は普及しているものの、消費者行動や企業調達における需要喚起に直結していないという現状があります。物語では「評価・表示の統一」が需要を創出すると説明されますが、肝心の検証KPIや制度の執行体制、中小企業への導入支援といった実体の裏付けが不明瞭です。期待は高まりつつも、実際の市場反応は鈍いままでしょう。隠れた前提は「消費者が表示を理解し、行動を変える」という点ですが、実際には価格や利便性が優先されるケースが多く、表示だけでは需要は劇的には変わらないという現実があります。この構造における観測点は、評価制度の詳細設計よりも、誰がその制度を運用し、どのように購買行動を変える施策と接続するかです。時間軸で言えば、制度設計から実装、需要創出の効果確認まで数年を要し、その間に企業は待機状態に陥るリスクがあります。
カーボンニュートラルの実現に向け脱炭素化に貢献する製品・サービスの開発が進む一方、その継続的な需要をどう創出するかが課題となっている。政府ではこの課題に向けた対策として、脱炭素製品・サービスの評価・表示制度の検討を開始した。 2050年カーボンニュートラルの実現には、国内での脱炭素分野への投資と、その結果生み出される脱炭素製品・サービスに対する需要創出の両輪が必要である。しかしながら、脱炭素製品(以下、サービスを含む)の多くは、機能・性能は既存製品と同じでありながら、現時点においては高コストであるため、これらの製品が積極的に選択・購買される状況とはなっていない。 排出削減価値を有する製品が市場に供給され、積極的に購入されるためには、その製品が有する脱炭素価値が適切に評価され、優先的に選択される仕組みが必要となる。 このため、環境省は2025年度に「脱炭素製品等の需要喚起に向けた検討会」を設置し、排出削減価値を有する製品の評価・表示スキームに関する検討を行ったが、今年度の検討会ではその具体的な評価基準や運用方法等に関する検討を開始した。 脱炭素製品(以下、サービスを含む)の継続的な需要拡大に向けては、各市場において、以下の2点を進めることで、プレミアムが価格差を上回る状況を実現することが必要と考えられる。 よって今回の新制度では、まずはプレミアム支払い意志の高い需要家を見出し、サプライチェーンに結びつける「需要の発掘」を行い、中長期的にはプレミアム支払い意志の薄い需要家への普及啓発・教育を通じた「需要の底上げ」を図ることとした。 ただし、当面の間は「表示」のみで大きなプレミアムを創出することは困難と考えられるため、補助金やグリーン調達等の他政策・制度と連携することにより、コストダウンと初期需要の創出を後押しすることが想定されている。 また本制度では、脱炭素製品の需要を喚起することでサプライチェーン全体での脱炭素化を推進するという目的に照らし、評価・表示の対象とする製品・サービスとしては、いわゆる「最終製品」を主な対象とするが、中間材も排除されない。 なお現在、経済産業省では「GX需要創出に向けた研究会」において、GX需要創出に貢献する企業を評価・顕彰するため、GX率先実行宣言を行うプラチナグレード取得企業を公表する制度の具体化を進めている(参考記事:GX製品・サービスの需要創出へ新制度 調達グレードに応じてGX補助金で加点評価)。 両省の制度の目的は重なるが、経産省では概ねBtoB、環境省ではBtoCというかたちで対象の棲み分けと制度間の協調が図られている。 また現時点、すべての最終製品を対象とすることは困難であり、実務的負担も大きいため、まずは「供給側で投資/取り組みが進展している製品」や、すでに「算定手法の下地が整っている」素材を用いた製品を今回の対象製品とする。 本検討会では、脱炭素製品の「評価・表示」制度を主な検討対象とするが、需要家に対する普及啓発やインセンティブ付与については、別途検討を進める予定としている。 Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境
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