インド産グリーンアンモニアに価格差支援、7社に供給 - ニュース
専門家の視点
インド産グリーンアンモニアに対して日本の価格差支援制度が適用され、7社への供給が認定されたという事実があります。実体としては、日本国内でのグリーンアンモニア製造コストが国際市場に対して割高であるという物理制約があり、それを補填するための制度設計が動き出したことになります。物語としては、日本政府が「水素社会推進法」に基づき、海外からの安価なグリーン水素キャリアを調達し、国内の脱炭素目標を達成するという明確な経路を示しています。しかし、ここでの隠れた前提は、インド産グリーンアンモニアが本当に「グリーン」と認定されるための国際的な基準や認証が整備されているかという点です。実体と物語の間にずれが生じる可能性があります。期待のレイヤーでは、投資家や市場がこの価格差支援を「前例」と受け止め、同様の海外調達案件に過度に走るリスクも存在します。すなわち、物語先走りの構造がここにあります。次の観測点は、この支援制度が実際に供給されるまでに、インド側の生産設備の認証プロセスと、日本の需要家との長期契約の可否です。この2つが揃わなければ、物語は絵に描いた餅に終わります。
IHI、神戸製鋼所100%子会社のコベルコパワー神戸(神戸市)、住友化学、日本甜菜製糖、北海道電力、三菱ガス化学、UBEの7社は、インドで生産される、再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニアを日本国内で活用するサプライチェーンを構築する。6月30日、「水素社会推進法に基づく価格差に着目した支援制度」について、経済産業大臣と国土交通大臣による認定を取得したと発表した。 同サプライチェーン構築では、IHIがインドの大手再生可能エネルギー会社ACMAグループと同国東部オディシャ州で共同開発しているグリーンアンモニア製造プロジェクトで生産されるアンモニアを引き取り、7社へ供給する。7社は、発電燃料や化学品原料などに使う。年間40万tのグリーンアンモニアを製造する計画。 水素社会推進法に基づく価格差に着目した支援制度は、低炭素アンモニアを含む低炭素水素などのサプライチェーン構築のため、低炭素水素などの価格と既存燃料・原料の価格との差額を支援する制度。認定を受けた事業者は、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)から交付決定を得ることで、助成金の交付を受けられる。今回の認定では、年間22.8万tが交付対象となる。 また、三菱重工業は6月26日、インドで製造された再エネ由来のグリーン水素およびグリーンアンモニアをシンガポールなどで活用する場合の経済性を解析し、サプライチェーン全体の最適化により大幅なコストダウンが見込めることを示した調査結果を発表した。 インドでグリーンアンモニアを製造し、シンガポールで電力やバンカリング(船舶への燃料供給)に利用する想定で、サプライチェーンの経済性を解析した。インドのグリーンアンモニアデベロッパーHygenco(ハイジェンコ)などの協力事業者から提供された製造データや現地情報をベースとした。Hygencoは、インド東海岸のオリッサ州で、年間生産能力110万tのグリーンアンモニアプロジェクトを開発している。 解析結果を基に、インド、シンガポールの事業者とともに製造・活用事業の実現に向けた課題を協議し、意見交換を行った。さらに、両国政府に対して、グリーンアンモニア製造・導入・需要創出のための施策を提言し、サプライチェーンを成立させるためのマスタープラン策定に向けて働きかけた。今後も両国政府や事業者との協議を継続する予定。 同調査は、経済産業省からの委託事業「グローバルサウス未来志向型共創等事業委託費」に基づき、「インド国グリーン水素・グリーンアンモニア輸出のための設備構成の最適化マスタープラン策定等調査事業」として実施した。経産省から報告書が公開されている。 インドは、相対的に再エネのコストが低く、再エネ由来のグリーン水素・アンモニア製造も期待されている。高市首相は、モディ・インド首相からの招待に応じ、7月1〜3日にインドのデリーを訪問し日印首脳会談が行われる予定。2025年8月に発表した今後10年に向けた日印共同ビジョンに基づく協力の進展を確認し、経済安全保障分野や投資・イノベーションを通じた経済産業に向けた協力を促進することで、両国の戦略的関係を一層強化したい考え。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。
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