GHG算定に使う「排出原単位」が大幅減、重厚長大産業は5割減も
排出量算定やScope対応の実務理解に直結し、GX業務の入口として重要です。
専門家の視点
日本の重厚長大産業の排出原単位が最大5割減少したという事実は、実体としての脱炭素進展を示す重要な指標です。しかし、この原単位減少が電力の脱炭素化によるものか、生産工程の効率化や燃料転換によるものかによって、意味合いは大きく変わります。記事の物語は「数字が減った=良い方向」という単純なフレーミングに傾きがちですが、実体は生産量減少による見かけ上の改善である可能性も否定できません。期待のレイヤーでは、投資家や政策当局がこの数字を根拠に「日本企業のGXは順調」と楽観視するリスクがあります。構造的なズレは、実体(原単位改善)を物語(産業競争力の回復)に翻訳する際に、時間軸の可逆性が無視されている点です。電力原単位の改善は非可逆に近い一方、生産量依存の削減は景気変動で逆戻りします。この記事が当然とする「原単位減少=構造的改善」という前提に問いを立てるなら、むしろ生産量そのものの減少要因(国内需要減・海外移転)を見るべきでしょう。次の観測点は、この原単位減少が「稼ぐ力」を伴っているかどうかです。排出量は減っても売上や付加価値が同程度減っていれば、GXではなく産業縮小の裏返しに過ぎません。