JERA、タイ発電公社と協業 水素・アンモニアで覚書 タイの脱炭素化支援
JERAがタイ発電公社と水素・アンモニア供給網構築に向けた覚書を締結し、タイの脱炭素化を支援する。
専門家の視点
JERAとタイ発電公社の覚書は、日本の水素・アンモニア技術を東南アジアに輸出する「物語」が明確に先行している構造です。現実の実体として、タイ国内でこれらの燃料を大量かつ安定的に調達・利用できるインフラや、コスト競争力を確保する制度設計は未整備です。物語が実体を追い越す典型的な「物語先走り」の状態であり、覚書の段階では具体的な実行レイヤーや中間KPIが欠落しています。 ここで問い直すべき隠れた前提は、水素・アンモニアがタイの脱炭素化に「適切で効率的な手段」であるという暗黙の了解です。タイは再生可能エネルギーのポテンシャルが高く、地熱やバイオマスなど国内資源を優先する選択肢も存在します。海外からの燃料輸入に依存する方式が、タイのエネルギー安全保障や経済合理性に合致するかは検証が必要です。 次の観測点は、この覚書がいつ、どのような検証プロセスを経て実証段階に移行するかです。JERAが日本国内での実証をどの程度進めているかという時間軸と、タイ側の法規制や補助金整備の進捗が、現実的な協業の成否を決めます。