企業動向

バイウィル取締役CSO伊佐陽介の著書『GXで評価される企業、されない企業』~脱炭素をコストから企業価値へ変える経営戦略

ニコニコニュース 2026-06-29
企業のGX対応事例として、現場で何が求められるかを知る手がかりになります。

専門家の視点

この著書が描くのは「脱炭素をコストではなく企業価値に転換する」という物語です。実体として、すでに多くの企業はGHG排出量の開示や削減目標の設定を進めていますが、欧州の炭素国境調整メカニズムやSBT認定基準の厳格化など、外部から突きつけられる実体的な圧力も急速に高まっています。物語は価値創造を掲げる一方で、削減の具体的なコスト構造や技術の収益化までの時間軸、制度的な非対称性(制度導入のスピードに対して、実務を担う人材や算定基準の整備が追いついていない現実)についての記述が不足する可能性があります。期待のレイヤーでは、本書のメッセージに共鳴した経営層や投資家が「GXで企業価値が上がる」という期待を先行させやすい構造です。ここで問い直したい隠れた前提は、「排出削減と企業価値向上が常に両立する」という点です。両立が容易でないセクターや技術段階では、まず削減コストの最適化という地味な実体を丁寧に伝える物語が必要です。この構造の中心は「物語先行」であり、次に観測すべきは本書が読者に提示する具体的なKPIやケーススタディにおいて、実体と物語の距離をどう埋める記述が含まれているかという点です。

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