企業動向

都市ガス脱炭素化で契約 北陸ガス・INPEX系、長岡市と

日本経済新聞 2026-06-29
企業のGX対応事例として、現場で何が求められるかを知る手がかりになります。

専門家の視点

北陸ガスとINPEX系が長岡市と都市ガスの脱炭素化契約を結んだという発表は、地域エネルギー転換の「物語」を具体化する一歩ですが、実体と期待の間に複数のズレが存在します。 実体として、INPEXは国内ガス田を持ち、同社が進めるカーボンリサイクル技術やメタネーション(水素とCO2から合成メタンを製造)の商用化には、少なくとも2030年代以降の時間軸が必要です。現在供給される都市ガスの脱炭素化は、実質的にはJ-クレジットや非化石証書の購入によるオフセットが中心となり、物理的なCO2削減ではありません。この「カーボンオフセット」と「実質的な代替燃料への転換」が混同されやすい点が、物語先行の構造です。 期待先行のリスクは、自治体や需要家が「すぐに脱炭素ガスが届く」と誤認し、自らの省エネや設備転換を先送りする点にあります。長岡市にとっての実行レイヤーは、契約の進捗管理と住民への正確な情報公開です。隠れた前提は「都市ガスの脱炭素化=供給側の努力のみで達成できる」という認識ですが、実際には需要側の受容と費用負担が不可欠であり、この対称性が欠落しています。

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