排出量算定

【国際】SAP、CBAM管理ツール発表。エンベディド排出量、炭素負債、証書までを一括管理

2026-06-28
SAPがEUのCBAM申請を支援する排出量管理ツールを発表

専門家の視点

EUのCBAM制度は既に移行期間が始まっていますが、実務を担う企業にとって、エンベディド排出量の算定、炭素負債の評価、証書管理までを一貫して行えるシステムはまだ限られています。その空白をSAPが自社の既存ERP基盤に乗せて提供する動きです。構造の中心は、制度が先に走り、実行レイヤーである企業のデータ管理基盤は追いついていないという、実体と物語のズレです。EU側はCBAMを「公平な競争条件の確保」と説明しますが、管理ツールを導入できるコストと人材を持たない中小企業は実質的に参加が困難になります。SAPの発表自体は技術的には優れた進展ですが、隠れた前提は「全企業が同様のデジタル基盤を持てる」という点です。現実には、多くのサプライヤーは手作業のExcel管理です。このツールが普及するかは、導入コストと制度執行の厳格さ次第です。次の観測点は、EUが中小企業向けの簡易算定ルールをいつ策定するかです。現時点では、制度物語と実務実体の間に大きな開きがある構造です。

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