【フランス】地裁、トタルエナジーズにスコープ3の計画反映命令。デューデリジェンス法
フランス地裁がトタルエナジーズに対し、スコープ3を含む温室効果ガス排出量の計画をデューデリジェンス計画に反映するよう命令した判決を報じている。
専門家の視点
フランス地裁判決がトタルエナジーズにスコープ3排出量をデューデリジェンス計画に組み込むよう命じた背景には、脱炭素における実体と物語のズレが潜んでいます。実体として、同社は石油・ガス事業を継続しながら、再生可能エネルギーへの投資も進める二正面戦略を取ってきました。しかし、この戦略の排出削減効果は、特にスコープ3(顧客による燃料使用など間接排出)において十分に説明されておらず、物語の欠落が生じています。裁判所は、企業が公約する「ネットゼロ」という物語と、現行計画における実行レベルの非対称性を問題視したと考えられます。ここでの隠れた前提は、企業の自主的な開示や目標設定が法的な説明責任を兼ねるという幻想です。実際には、GHGプロトコルに基づくスコープ3算定は方法論が未成熟で、企業にとって実行可能性と精度のトレードオフが常に存在します。この判決は、GX人材や投資家に対して、単なる目標数値の開示ではなく、どの排出源をいつまでにどう削減するかという時間軸と手段の具体性を問うています。期待先行のESG投資が実体なき物語に踊らされないための、制度によるフィルターの一つと言えるでしょう。