北電が「洋上風力推進本部」、まず人材育成の新会社 - ニュース
専門家の視点
北海道電力が「洋上風力推進本部」を設置し、人材育成を目的とした新会社を設立するという発表です。構造的に見ると、まず実体としては、石狩湾新港での洋上風力事業が2024年1月にJERAやGPIと連携して進められていますが、事業の本格稼働や具体的な発電量目標は記事からは見えず、実行段階には至っていません。物語としては、「GX実現への挑戦」という大きなビジョンが掲げられていますが、推進本部と新会社の設置という組織改編が目的と手段の中心に据えられており、技術的な進捗や経済性の検証が不足しています。期待の面では、北海道内での洋上風力への投資や地域経済の活性化が市場や自治体から期待されている一方で、人材育成会社の設立というステップが先行している印象です。 この構造は「物語先走り」に該当します。ビジョンと組織体制は整いつつあるものの、実際の発電事業の実体や技術的な課題解決が追いついていないためです。隠れた前提として、「推進本部を設置すれば事業が進む」という組織論が当然視されていますが、洋上風力の成否は送電網の確保や漁業関係者との調整など、制度設計の非対称性こそが本質的な障壁です。
北海道電力は6月25日、北海道における洋上風力発電の実現に向けた取り組みの全体を統括する「洋上風力推進本部」を同日付で設立したと発表した。推進本部による取り組みの第1弾として、洋上風力人材育成事業(トレーニングセンター)を運営する新会社「道南洋上風力プラットフォームズ株式会社」を7月に設立する。 同社が2025年3月に策定した「ほくでんグループ経営ビジョン2035」では、経営テーマの一つに「北海道の発展に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)実現への挑戦」を掲げる。同方針に基づき、再生可能エネルギーの開発では、すでに、出力112MWの石狩湾新港洋上風力発電事業に参画している。 石狩湾新港洋上風力発電事業は、2024年1月にJERA(ジェラ)とGPI(グリーンパワーインベストメント)の出資で商業運転を開始したが、2025年10月に北海道電力と東北電力が出資し、4社による事業運営になっている。 北海道が国内随一の導入ポテンシャルを持つ洋上風力発電は、第7次エネルギー基本計画において再エネ主力電源化の重要な柱に位置付けられるほか、国のGX戦略地域制度において、脱炭素電力の供給源として同制度の実装を支える役割が期待されているという。 こうした洋上風力に対する期待の高まりを踏まえ、北海道電力では全社を挙げて北海道における洋上風力発電の実現に向けて、迅速・効率的な開発に関する検討を強化するとともに、事業環境の整備に取り組むとし、その全体を統括する推進本部を設置した。 合わせて設立を発表した新会社は、洋上風力作業の安全に係る国際標準トレーニングであるGWO認証訓練が受講できる環境の整備を進め、2027年度に陸上訓練、2029年度に海上訓練の運用開始を目指す。本社所在地は、北海道函館市。北海道電力が100%出資し、代表取締役には北海道電力取締役の新沼彰人氏が就任する。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。
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