【EU】WBCSDのOP2B、CRCF通じた農業移行拡大を提言。スコープ3算定整合も要請
WBCSDのOP2BがCRCFを通じた農業移行拡大とスコープ3算定の整合を提言
専門家の視点
この提言の構造は、実体と物語の間でズレが生じつつある段階にあります。実体としては、CRCF(炭素除去認証枠組み)がEUで法制度化されつつあり、農業由来の炭素クレジットに測定可能な基準が生まれようとしている事実があります。同時に、WBCSDとOP2Bというグローバル企業のネットワークが、この枠組みをスコープ3算定に組み込むよう要求している点も明確な現実です。 問題は物語の側にあります。提言はリジェネラティブ農業の拡大を「移行」と表現していますが、その移行が誰によって、どの農地で、いつまでに実行されるのかという実行レイヤーが欠落しています。企業のスコープ3削減目標と、農業現場での土壌管理手法変更との間には、技術的ハードルやコスト負担、農家のインセンティブ設計という現実的な壁が存在します。 ここに隠れた前提として、農業のカーボンクレジット化が「自然に拡大する」という期待が潜んでいます。しかし、CRCFが認証するのは主に炭素除去であり、排出削減ではありません。スコープ3算定の整合を求める声が先行する一方で、認証基準と現場の実践が現実的に結びつくまでには少なくとも数年単位の時間軸が必要です。