制度・政策

【EU】鉄鋼大手3社、EU-ETS改革要請。排出削減ハードル高く欧州鉄鋼競争力の低下懸念

2026-06-27
欧州鉄鋼大手3社が欧州鉄鋼業の競争力維持と脱炭素化加速のため、EU-ETSの改革を要請した。

専門家の視点

欧州鉄鋼大手3社がEU-ETS改革を要請した背景には、排出削減の技術的ハードルと国際競争力の現実が横たわっています。鉄鋼生産に必要な高炉の水素還元やカーボンキャプチャーは、現時点では大量導入のコストとインフラが整わず、実体として「移行期間の長期化」が避けられません。他方、EUの物語は「2030年までに排出55%削減」という野心的目標で、制度としてのETS無償枠の段階的廃止が既定路線です。ここで生じているのは、物語(気候目標の前倒し)と実体(鉄鋼技術の移行速度)の明確な乖離です。3社の要請は、このギャップを埋めるために物語の調整(排出削減ハードルの再設定)と期待の安定化(投資判断の確度向上)を同時に狙っています。問題は、この調整が「実体に合わせた物語の緩和」なのか「抜け道づくり」なのか、という構造的疑念です。観測点は、EU側が要請への回答として、削減目標の時間軸を明確に再定義するかどうかです。もし目標を据え置いたまま補助金で穴埋めするなら、期待先行のまま実体が追いつかないリスクが続きます。

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