第83回SBLセミナー:「『地球に優しい』が使えなくなる――グリーンウォッシュという新たな企業リスク」
専門家の視点
「地球に優しい」という言葉が使えなくなる、という強い物語が先行していますが、実体としてはEUの規制適用開始は2026年9月とまだ先であり、日本国内には同等の強制力を持つ規制が存在しません。規制の恐怖をあおる物語と、現場で企業が実際に直面する制度面でのギャップがここにあります。注目すべきは、このセミナー自体が「どう対応すべきか」という実務解決を提供する構造になっている点です。つまり、問題設定と解決策がセットで市場に供給されているという、いわば「グリーンウォッシュ対策市場」の形成そのものが見えてきます。隠れた前提は、規制に対応すればリスクは回避できるという安心感です。しかし、グリーンウォッシュの本質は規制違反ではなく、企業と社会の間にある期待と実態のズレです。規制に合わせた表示に変更しても、製品や事業の環境負荷が変わらなければ、いずれ別の形で批判は噴出します。日本企業に求められているのは、単なる法務コンプライアンスではなく、自社の事業構造そのものに組み込まれた環境実態と、それを正直に伝えるコミュニケーションの両立であり、規制だけを追いかけてもグリーンウォッシュの本質的リスクは消えません。
「環境に優しい」「エコ」「カーボンニュートラル」――。 こうした環境訴求は企業の広告や商品表示、統合報告書などで広く使われています。しかし近年、実態や十分な根拠を伴わない「グリーンウォッシュ(環境主張)」に対する規制や監視は世界的に強まっています。 EUでは2026年9月から新たなグリーンウォッシュ規制の適用が始まり、「環境に優しい」「エコ」といった曖昧な環境表示や、カーボンオフセットを前提とした環境主張に対する規制が強化されます。オーストラリアや英国などでは、企業の環境表示に対する当局の監視や執行が強化されており、市民団体による申し立ても行われています。 日本企業が関わる事例も出てきており、グリーンウォッシュはもはや他人事ではありません。海外市場で事業を展開する企業はもちろん、サプライチェーンや投資家との対話を通じて、国際的な基準への対応が求められる時代になっています。 本セミナーでは、環境問題の解決に特化した国際的な法律専門家・NGOのネットワークであるクライアントアース(本部:(オーストラリア・ニューサウスウェールズ州)で活動し、日本企業の気候変動・環境法務にも携わる嶋田亜由美氏を講師に迎えます。 グリーンウォッシュがなぜ問題視されているのか、日本の環境表示規制の現状、EUをはじめとする海外の最新規制動向、そして国内外の具体的な事例について解説します。 環境表示をめぐる規制が世界的に強化されるなか、企業は何に注意し、どのように対応すべきなのでしょうか。最新動向を踏まえながら、日本企業に求められる実務対応を考えます。お申込みはこちらから ■開催概要とき:2026年7月23日(木)12:00~13:00ところ:オンライン(Zoom)参加費:無料(SBL会員)/3,300円(SBL非会員) 当日のプログラム(予定):12:00~12:05 事務局挨拶12:05~12:35 講演「『地球に優しい』が使えなくなる――グリーンウォッシュという新たな企業リスク」(嶋田亜由美氏)12:35~12:55 全体セッション(質疑応答)12:55~13:00 次回SBLセミナーのご案内 嶋田亜由美(しまだ・あゆみ)氏:クライアントアース・ソリシター(オーストラリア・ニューサウスウェールズ州)京都の大手電子部品メーカーでの企業内弁護士を経て、2018年に渡豪、2021年にソリシター(オーストラリア・NSW州)資格取得。オーストラリアのロースクールを卒業後、環境法専門の公設事務所Environmental Defenders Officeにてボランティア・リサーチャーとして気候変動訴訟に関わる。2022年から2025年までオーストラリアの大手法律事務所にて日本企業をクライアントとするジャパンチームでプラクティス。2025年9月よりクライアントアース・東京のリーガル・コンサルタントに就任、2026年3月よりクライアントアース・オセアニアのフルタイム・インハウスロイヤーとして日本の気候変動問題に取り組む。オーストラリア在住。日本の弁護士資格は現在未登録。 サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。
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