エネ需給の強靱化で計画策定へ 中東混乱受け8月末までに
専門家の視点
中東混乱を契機に表明されたエネルギー需給強靱化計画は、実体として火力発電が約7割を占める日本の脆弱な電源構成と、想定外の地政学リスクという現実が直撃した形です。しかし、首相が「ピンチをチャンスに」と語る物語の裏では、再エネ加速や原子力推進といった具体策の実行レイヤーが依然として曖昧です。2025年のエネルギー基本計画からの「想定変化」と認めながら、8月末までの計画策定という短期の工程表だけでは、制度設計や人材確保、投資判断の時間軸が整合しません。AI需要増への対応も含めて、実体(導入速度・コスト・立地制約)と物語(成長への転換)の間に大きな乖離があります。この計画が本当に強靱化に寄与するかは、計画の中身だけでなく、誰がどのように実行するのかの設計次第です。期待先行の政治表明だけで終わらせないためには、実行組織と資金メカニズムを同時に示す必要があります。
高市早苗首相は26日、中東情勢の混乱で原油の供給不安が広がったことを踏まえ、エネルギーの需給構造の強靱化を進めるための総合計画を8月末までに策定すると表明した。再生可能エネルギーなどGX(グリーントランスフォーメーション)の取り組みを加速させる。首相は「人工知能(AI)の進展による電力需要に応えられるかは重要な課題だ」と述べた。 中東情勢への対応を議論する閣僚会議で赤沢亮正経済産業相に計画策定を指示した。強靱化には中東に依存してきた原油の調達多角化や原子力発電の推進なども含まれるとみられる。首相は「エネルギーの選択肢を増やし、ピンチをチャンスに、成長の力に転換する」と強調した。 イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖で原油の需給が切迫し、価格は一時高騰した。政府や石油元売りは米国などから代替の原油を調達したり、備蓄を放出したりしてしのいできた。政府が2025年に決定したエネルギー基本計画から想定が大きく変化し、対策が必要と判断した。 日本の電源構成のうち石油やLNGなどを燃料とする火力発電は約7割。(共同通信)
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