GX-ETSとJ-クレジットの壁 10%制限でも足りない供給量 - kankyo-business.jp
GX-ETSにおけるJ-クレジットの活用制限(10%)でも供給が不足している現状を報じている。
専門家の視点
GX-ETSの排出量取引において、企業が活用できるJ-クレジットの上限が10%に設定されても、その供給量が需要を下回るという構造的な非対称性が浮き彫りになっています。実体としては、国内で創出されるクレジットの絶対量が制度設計時の想定を下回っており、企業が実質的に排出権を調達できない状況が生じています。一方、制度の物語は「カーボンプライシングによる段階的な排出削減の促進」ですが、供給不足が固定化されれば、この物語は実効性を失い、企業にとってはコスト増と削減義務の未達リスクが現実化します。期待の面では、市場参加者は制度への信頼を損ない、クレジット価格の高騰や先物取引の不活性化につながる可能性があります。ここでの隠れた前提は「J-クレジットの供給量が需要に応じて拡大できる」という点ですが、現状のプロジェクト創出ペースと認証期間を考慮すると、短期的な供給拡大は極めて困難です。この構造の本質は、排出削減義務の物語先行型で市場を設計したものの、実体であるクレジットの生産基盤(プロジェクト数・認証制度・資金循環)が追いついていない点です。