制度・政策

欧州主要鉄鋼3社、EU排出量取引制度の見直しを要請 競争力維持と脱炭素化支援を訴え

ESG Journal 2026-06-25
欧州主要鉄鋼3社がEU排出量取引制度の見直しを要請し、競争力維持と脱炭素化支援を訴えている。

専門家の視点

欧州鉄鋼3社がEU排出量取引制度(EU ETS)の見直しを要請した背景には、炭素国境調整措置(CBAM)導入後も続く国際競争の非対称性があります。EU域内では既に無償割り当ての段階的廃止が決まっており、脱炭素投資に巨額の資金が必要な鉄鋼業界にとって、排出権コストの上昇は直接的な収益圧迫要因です。ここで問題となるのは、物語(脱炭素化支援)と実体(排出権価格の高止まりと競争力低下)の間に生じているズレです。EU政策は気候目標達成を優先する物語で動いていますが、鉄鋼という国際商品の市場構造は、域外の排出規制が緩い国との価格競争を依然として強制しています。つまり、制度設計の時間軸と産業実態の時間軸がずれており、支援策が投資のタイミングに間に合っていない可能性が高いのです。次の観測点は、この要請がEUの排出権価格決定メカニズムや無償割り当ての見直しという実体レベルの変更につながるかどうかであり、現時点では物語が先行している構造と言えます。

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