【総研ブログ】SBTi「CNZS 2.0」が変えた脱炭素経営のルール――目標を「掲げる」時代から、移行を「マネジメントする」GX時代へ
SBTiの新基準「CNZS 2.0」により、企業の脱炭素経営が目標設定から移行マネジメントへと変化したことを解説
専門家の視点
SBTiの改定は、削減目標の設定という「宣言のハードル」から、移行計画の実装と進捗管理という「実行のハードル」へとルールの重心を移した点が核心です。この変化は、企業に求められるものが経営戦略と統合された脱炭素プロセスであることを明確にしています。しかし、記事が示す期待の高まりに対し、実体としての課題も浮かび上がります。具体的には、Scope3を含むサプライチェーン全体での排出量算定の精度、実行計画に対する内部人材と予算の確保、そして定期的な情報開示と検証の負荷です。制度の導入は早くとも、それを運用できる組織能力が追いつかない可能性があり、ここに「物語先行」の構造が潜んでいます。特に、「移行をマネジメントする」という物語は魅力的ですが、現実には中小企業を含む多くの企業がScope3データの取得すら困難な状態にあることも見逃せません。この改定が本当に機能するかは、企業が内部の実行レイヤーをいつ、どのように整備できるかにかかっています。今、観測すべき点は、新しい基準に対応するための人材育成やシステム投資が、投資家からの評価に先行して進むかどうかです。