カーボンニュートラルのまちづくり 自治体事例
専門家の視点
堺市、姫路市、尼崎市のカーボンニュートラルまちづくり事例には、共通する構造が見えます。いずれも「脱炭素」を都市の魅力向上やブランド力強化、観光振興の手段として位置づけており、現実のCO2削減という実体よりも、物語としての訴求力が前面に出ています。これは物語先走りの構造です。 例えば堺市のSMIプロジェクトは、次世代都市交通(ART)の導入を掲げながら、現時点では補助メニューの活用や周知活動の段階にあり、技術実装の具体性やスケジュールが不明瞭です。姫路市の「ゼロカーボンキャッスル」も、姫路城のLED化と歩行者空間整備が中心で、観光地としてのシンボル性は強いものの、市内の主要排出源である工業地帯への対策が抜け落ちています。尼崎市も含め、各市の取り組みは「脱炭素」というラベルを既存の都市政策や再開発に貼り直した印象が否めません。 隠れた前提として、これらの事例は「都市の脱炭素=ウォーカブル空間+再エネ導入」と単純化していないでしょうか。実際には、郊外の住宅地や産業団地での対策、運輸部門の抜本的な転換といった、見えづらいが排出量の大きい領域への介入が不可欠です。
2026.06.25カーボンニュートラルのまちづくり 自治体事例|「SMIプロジェクト」で都心部の魅力向上と活性化を目指す、「ゼロカーボンキャッスル」の実現で観光地としての魅力とブランド力を向上、再エネ施設導入によるゼロカーボンベースボールパーク整備計画大阪府兵庫県大阪府堺市兵庫県姫路市兵庫県尼崎市50万人以上20万人~50万人環境堺市、姫路市、尼崎市のまちづくり自治体事例近年、豪雨災害や記録的な猛暑など、気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化が世界的な課題となっており、わが国においても2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、地域の取組を推進しています。 そのような中で、都市・地域構造や交通システムは中長期的にCO2排出量に影響を与え続けることから、都市分野においても脱炭素に資する都市・地域づくりが求められています。 そこで、都市行政においてカーボンニュートラルに向けた取り組みを一歩進めるための手引きとなることを目的に国土交通省 都市局 都市政策課 都市環境政策室が作成した「都市行政におけるカーボンニュートラルに向けた取組事例集(第2版)」より、地域脱炭素ロードマップの脱炭素先行地域の自治体事例のほか、海外事例も抜粋して紹介します。 今回は、堺市、姫路市、尼崎市のカーボンニュートラルのまちづくり自治体事例をお届けします。 大阪府 堺市では、移動利便性の向上や歩きたくなるウォーカブルな空間形成と合わせたカーボンニュートラルの取り組みなどにより、堺都心部の魅力向上・活性化を目指す「SMI(堺・モビリティ・イノベーション)プロジェクト」において、脱炭素先行地域選定を活かした取り組みを進めています。 堺市は2021年3月に、2050年カーボンニュートラルを目指すことを含む「ゼロカーボンシティ」および「気候非常事態宣言」を表明し、庁内の取り組みをパッケージとして調整を進めることになりました。 堺市は2009年に環境モデル都市、2018年にSDGs未来都市に選定され、再生可能エネルギーの導入などの脱炭素型都市構造の構築や、ウォーカブルな都市空間の形成に取り組んでいます。 都市の課題と今回のまちづくり(左)と取り組み経過 SMIプロジェクトは、移動利便性の向上や歩きたくなるウォーカブルな空間形成と合わせたカーボンニュートラルの取り組みなどにより、堺都心部の魅力向上・活性化を目指します。 SMIプロジェクトの推進に向け、便利・快適な移動環境の構築に取り組んでいます。 特に「SMI都心ライン」では、常に最先端の技術を実装する、時代とともに進化し続ける次世代都市交通(ART)の導入を目指しています。 最先端の都市のアピール脱炭素は先進都市のアピールに不可欠となっています。 SMIプロジェクトの取り組みを広く周知脱炭素先行地域に選定されたことにより、SMIプロジェクトの取り組みを市民や事業者に周知でき、民間事業者などが堺市のまちづくりに興味を示してくれたため、今後のさまざまな事業展開につながることが期待できます。 補助メニューの活用SMIプロジェクトの事業については、「都市・地域交通戦略推進事業」等の活用を想定。脱炭素先行地域に選定されることで補助率が上がり(1/3⇒1/2)、費用面でさらなる支援を受けることができます。 兵庫県 姫路市では、世界遺産・国宝「姫路城」におけるライトアップ設備のLED化や駅から姫路城の区域における居心地よく歩きたくなるまちなかづくりの機会を捉え、脱炭素先行地域の取り組みによる再エネ施設整備、供給により「ゼロカーボンキャッスル」を実現し、観光地としての魅力とブランド力向上を促進しています。 同市内の姫路城から姫路駅のエリアでは、駅前広場整備に伴うトランジットモール整備やウォーカブル推進事業を進めており、景観形成や賑わい創出に取り組んできました。近年の社会潮流である「脱炭素」を加味することで、さらにアピールする狙いです。 市内における二酸化炭素の大きな排出地は工業地帯ですが、環境問題は社会の問題であり、世界遺産・国宝姫路城を中心においてシンボリックに取り組むことで、市民や来街者の意識啓発につなげる考えです。 都市の課題と今回のまちづくり(左)と取り組み経過 姫路駅周辺では、平成27年に姫路駅北駅前広場再整備が、令和2年には大手前通り再整備が完了し、トランジットモール化による一般車の流入制限により、人を中心とした駅前空間が形成されています。 大手前通りでは、令和4年から歩行者利便増進道路(ほこみち)制度を活用した歩道利活用が開始され、日常的に賑わい、憩う空間となる取り組みを進めています。 さらに、ウォーカブル推進計画の策定や姫路城のライトアップ設備のLED化や既存店舗の魅力化など、交流を生むさまざまな取り組
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