制度・政策

【原発建て替え目標】原発新設は必要か

2026-06-25
政府のGX基本方針に基づく原発の新規建設の是非について議論する記事

専門家の視点

原発新設の是非を問う議論には、実体・物語・期待の三層で構造的なズレが潜んでいます。実体として、原発は建設に10年超、投資回収に20年超かかる長期アセットであり、送電網の制約や核燃料サイクルの不透明さという物理的制約を抱えています。一方、物語は「安定供給と脱炭素の両立」というフレーミングで語られますが、廃炉費用や最終処分場の見通し、事故リスクの定量評価が省略されがちです。期待のレイヤーでは、電力安定への不安から政治・産業界が原発回帰へ走り、投資家も長期収益の不確実性に慎重ですが、市民は安全への懸念とコスト負担のバランスで割れています。 ここでの核心は、物語が「必要か否か」という二項対立に単純化し、実体の時間軸とリスク分散の議論をすり替えている点です。隠れた前提は「原発がなければCO2削減目標が達成できない」という仮定ですが、需給調整市場や揚水発電、地熱の開発余地を軽視しています。次の観測点は、GX基本方針に盛り込まれた建設促進策が、実際の許認可プロセスやサイト確保とどう噛み合うかです。制度と手続きの非対称性は、待ったなしの時間制約の中で実体が物語に追いつかない構造といえます。

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