【原発建て替え目標】原発新設は必要か 再エネ拡大優先を 法政大教授 高橋洋
専門家の視点
政府が廃炉決断後の原発建て替え目標を初めて明示したことの構造は、物語先走りと実体欠落の複合です。目標値として14基は福島事故前の数字をなぞるものの、現実には建設可能な敷地・許認可プロセス・人材確保のいずれも具体策が示されていません。再エネ拡大優先を主張する高橋教授の指摘は、この実体と物語の乖離を突いています。重要な隠れた前提は、「原発新設と再エネ拡大は二者択一である」というフレーミングです。実際には両立が可能な領域も存在しますが、日本の電力システム改革では卸市場・送電網へのアクセスが旧一般電気事業者の優位を温存する構造を残しており、再エネの競争条件は改善途上です。政府の目標が原子力に固執するように見える背景には、この非対称性の解消より供給安定性を優先する判断があります。次の観測点は、2040年代という時間軸の可逆性です。原発建設には最低でも10~15年かかるため、今の設計が50年後の電源構成に直結します。再エネ蓄電技術や需要側調整力の進展次第で、この長期投資が座礁資産化するリスクを、誰がどう評価するのかが問われています。
経済産業省は、6月5日の原子力小委員会で、廃炉を決めた原子力発電所の建て替えについて、2040年代までに2~5基、50年代までに11~14基が必要との目標を示した。政府は既に23年の「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」で原発の新規建設を打ち出す方針転換をしていたが、その目標値が初めて示されたことになる。 14基という数値は、10年の「第3次エネルギー基本計画」で政府が示した原発の新増設の目標値と一致する。その計画は、翌年に東京電力福島第1原発事故が発生したため白紙撤回され、その後、国を挙げて脱原発の可否が議論されたことは周知の通りである。
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