制度・政策

農水省、民間投資で食糧安保強化へ 気候変動や国際情勢に対応

2026-06-25
農水省は民間投資を活用し気候変動や国際情勢に対応するため、食料安全保障強化に向けた「みどり加速化GXプラン」を公表した。

専門家の視点

農水省の「みどり加速化GXプラン」は、気候変動と国際情勢の不安定化という二つの「実体」に対応するための物語(説明)として提示されています。しかし、この物語の核心である「30年までに民間GX投資を拡大する」という目標に対して、具体的な投資規模の数値や、投資を喚起するための規制・補助金といった制度設計の詳細が記事からは見えません。ここに「物語先行」の構造があります。つまり、課題認識と政策の方向性(物語)は正しいものの、それを実現するための具体的な「実体」――誰が、いつ、どのような条件で投資するのか――が翻訳されていない状態です。特に、市場規模調査を26年度中に行うとした点は、時間軸が長く、投資判断が先送りされるリスクを内包しています。植物工場やバイオ燃料といった分野は技術的には確立しつつありますが、収益性や需要の不確実性という「実体」が民間投資のブレーキになっている可能性が高い。このプランの成否は、調査結果をいかに迅速に実行可能な制度設計に落とし込み、期待先行の市場ではなく、持続可能な投資を生み出せるかにかかっています。

農林水産省は25日、食糧安全保障の強化に向けた「みどり加速化GX(グリーントランスフォーメーション)プラン」を公表した。2030年までに民間のGX投資の拡大を促し、地球温暖化など気候変動に適応する品種・技術の開発や、輸入肥料に頼らない有機農業の促進の早期実現を目指す。 50年までに農林水産業からの二酸化炭素(CO2)排出量ゼロや、食料の生産力向上・持続性を目指す「みどりの食料システム戦略」を加速化させる狙いがある。 戦略の策定後、ロシアによるウクライナ侵攻など国際情勢の不安定化や、異常な高温など気候変動の影響が深刻化し、食料の安定供給への取り組みが急務になっている。他方で民間企業の食や環境分野への関心の高まりを踏まえ、30年までの集中的な施策をまとめた。 農水省は重要と位置づける「植物工場や陸上養殖」「バイオ燃料製造」などについて、26年度中に潜在的な市場規模を調査する。さらにその内容を明らかにすることで、民間企業がよりGX投資をしやすい環境を整える方針だ。 鈴木憲和農相は「食料は国民の生活の礎を支える。将来にわたって安定的な生産が確保されなければならない」と語った。【鶴見泰寿】

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