【UAE】エティハド信用保険、IRENA途上国再エネ促進プロジェクト加盟。投資ギャップ解消
専門家の視点
エティハド信用保険とIRENAのパートナーシップは、途上国の再エネ投資ギャップに対して信用保険という金融メカニズムで応じる試みです。実体として、IRENAの「加速化資金(ETAF)」枠組みはすでに存在しますが、実際にプロジェクトファイナンスが成立した件数は限定的です。投資リスクを軽減するECIの関与は、この実体欠落——資金はあるが案件組成が進まない——を埋める設計といえます。物語は「官民連携で投資障壁を下げる」という筋書きですが、肝心の誰が現地で事業を実行するのかという実行レイヤーが曖昧です。信用保険はリスクを移転する手段であり、事業の収益性や現地の制度運用能力を直接改善するものではありません。この点で、物語と実体の間にズレが潜んでいます。期待のレイヤーでは、UAEがIRENA本部をホストする立場から自国の金融機関を公的に活用する形となり、政治的な先行感があります。市場や投資家がこの枠組みにどれだけ具体的な資金を振り向けるかは未知数です。隠れた前提は「信用保険があれば案件が動く」という発想ですが、現地の許認可手続きや送電網整備といった非金融リスクが放置されたままでは効果は限定的です。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は6月5日、アラブ首長国連邦(UAE)のエティハド信用保険(ECI)とパートナーシップ協定を締結したと発表した。 今回の発表では、ECIはIRENAが運営する発展途上国でのエネルギー移行促進マルチステークホルダー型気候変動ファイナンスプラットフォーム「Energy Transition Accelerator Financing(ETAF)」にパートナーとして参画。ETAFのパートナー機関は15となり、誓約総額は41.5億米ドルに達した。 多くの新興国・途上国市場では、カントリーリスク等の懸念が再生可能エネルギーへの投資を阻害する大きな要因となっている。ECIは、アフリカ、アジア、中東等、110カ国をカバーする幅広い事業基盤を活かし、革新的な信用保険やリスク軽減ソリューションを提供することで、バンカビリティ(融資適格性)を向上させ、この投資ギャップの解消を目指す。 ETAFは、IRENAが2021年に設立。2030年までに最低10億米ドル(約1,400億円)の資金動員を掲げ、2030年までに発展途上国で再生可能エネルギー発電設備容量5GWの新設を目標としている。IRENAは事務局として、プロジェクトの募集から資金調達までを同プラットフォーム上で統括している。 2023年12月には、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の場で、同プラットフォームに対して欧州復興開発銀行(EBRD)、HSBC、国際金融公社(IFC)、多国間投資保証機関(MIGA)が加盟を発表。2024年7月には、アフリカ開発銀行が設立したアフリカ31カ国のインフラ投資プラットフォーム「Africa50」が最大1億米ドルの資金拠出をコミットしていた。 【参考】【アフリカ】IRENAの途上国再エネ促進プロジェクトにAfrica50加盟。累計金額6730億円へ(2024年7月3日) 今回のパートナーシップにより、IRENAとECI双方のネットワークがETAF上に統合される。両者は、世界中の再生可能エネルギープロジェクトが資金調達を実現し、建設フェーズへと進む可能性を最大化するとしている。 【参照ページ】Etihad Credit Insurance Joins ETAF’s USD 4.15 Billion Funding Capacity as 15th Member ※ 閲覧チケットは翌月への繰り越しはできません。 【無料会員向け】有料記事の閲覧チケットの詳細はこちら 株式会社ニューラル サステナビリティ研究所
本文は配信元の記事から取得した抜粋です。