制度・政策

排出量取引制度「GX-ETS」が本格始動 企業価値を左右する脱炭素の取り組みとは

日経ビジネス電子版 2026-06-21
制度変更の理解は、GX実務や企業対応の前提知識として重要です。

専門家の視点

GX-ETS本格始動は、実体として炭素価格の明確化と排出量の上限設定という不可逆な制度変化をもたらしました。しかし物語は「企業価値を左右する」と強調する一方で、具体的な遵守義務や罰則、目標未達時のペナルティについての説明が不足しています。この制度がどのようなKPIで評価され、失敗がどのように扱われるのかが不明瞭なままです。そのため期待は二極化しています。一部の先進企業は積極的な情報開示と排出削減に動く一方、多くの企業は制度の影響を見極めようと様子見の姿勢を崩していません。ここにあるのは物語先走りの構造です。制度導入という実体は確かに動き出しましたが、その影響の実態や遵守メカニズムの詳細が追いついておらず、語られるビジョンの大きさに比べて企業現場に落ちる実行レイヤーがまだ具体化していません。次の観測点は、2026年度以降の排出枠の価格推移と、制度が企業の投資判断や事業ポートフォリオに実際に作用し始めるタイミングです。GX-ETSは可逆性の低い制度であり、一度導入された枠組みが後退することは政治的に困難です。

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