再エネ・技術

「蓄電池や洋上風力にも本腰」、損保ジャパンに聞く新エネ向け保険の現状

2026-06-23
損害保険ジャパンが蓄電池や洋上風力など新エネ事業向け保険の開発状況と課題を語る。

専門家の視点

損保ジャパンが蓄電池や洋上風力へ保険商品を拡大する動きは、メガソーラー一辺倒だった再生可能エネルギー保険市場の多角化を示しています。しかし「本腰」という語り口は、既存のメガソーラー事業からの単なるポートフォリオ拡大という側面を強調し、蓄電池や洋上風力に特有のリスク(火災・故障・自然災害)への対応力や引受条件の詳細を省略しています。また、保険はGX投資を促進する手段ですが、記事では保険商品自体が目的化するフレーミングが見受けられます。具体的な引受実績や保険料の水準が示されないため、損保ジャパンが本当にリスク評価を深化させたのか、それとも既存のスキームを転用したのかは不明瞭です。利害関係者としては、保険会社の収益確保が前面に出ており、発電事業者の実質的なリスク低減効果や保険料負担の増加といった点が伏せられています。日本企業・GX人材は、新エネ保険の進化を投資判断の材料とする際、表面的な「本腰」の文言に惑わされず、リスク評価の精度や補償範囲を自社事業と照らして検証する姿勢が求められます。

損害保険ジャパンは、洋上風力発電や系統用蓄電池向け保険など、新たなエネルギー事業分野にも積極的に取り組んでいる。一方、太陽光発電向けは、依然として収支が厳しい状況で、発電事業者との適切なリスクシェアに乗り出している。同社・企業財産保険業務部 企業火災グループの瀬田俊幸主任、同グループの小松真之課長代理、海上航空保険業務部 エナジーグループの北村夏海主任、同グループの丸山美帆課長代理に聞いた。 ――太陽光発電事業者の間では、毎年、契約を更新するたびに保険金額が上がっていくとの声をよく聞きます。背景には何があるのですか。 損保ジャパン 太陽光発電設備向け保険は、風災や雪災、水災、雹(ひょう)災など自然災害の頻発や激甚化に加え、ケーブル盗難など当初想定していなかった損害も多く、保険事業の中でも採算が悪化しているのが実態です。そのため、お客様にもご協力いただきながら、リスクのシェアを見直しているところです。具体的に言うと、損害が発生した場合、自己負担で対応してもらう範囲、つまり免責事由の拡大や免責金額の引き上げなどになります。 特に一度、自然災害や盗難に遭ったサイトの場合、リスク状況が変化しているので、従来と同じ条件での契約は難しくなります。これまでの実績からも、自然災害は地域性が大きいですし、一度、盗難に遭ったサイトは、2度、3度と被害に遭うケースは珍しくありません。 ――2018~20年にかけ、大型の台風や豪雪により、太陽光発電所を含めて各地で被災事故が頻発しました。当時に比べると、ここ数年、自然災害は落ち着いている印象もあります。また、ケーブル盗難についても、対策が進んだこともあり減少傾向との声もあります。 損保ジャパン 確かにケーブル盗難については、一時に比べると減少傾向にはありますが、依然としてリスク状況は予断を許しません。さらに自然災害については、2018~20年頃のように名前の着くような台風災害や雪害は減ったものの、保険の支払い額を見てみると、例えば2025年度には5~6年前に比べも増えています。結果的に太陽光設備分野の保険事業の収支は厳しい状況が続いています。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。

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