再エネ・技術

都心の複合ビルでグリーン水素、太陽光電力で水電解 - ニュース

2026-06-22
飯野海運が都心の複合ビルに太陽光発電由来の電力でグリーン水素を製造・利用する設備を導入する計画を発表した

専門家の視点

この案件の核心は、水素を「つくる・ためる・つかう」の三工程を一つの都市型ビルで完結させた点です。飯野海運は太陽光発電の電力を用いた水電解でグリーン水素を製造し、非常用発電や空調の熱源として利用します。これは、実体として既存の技術の組み合わせで成立するプロジェクトであり、水素サプライチェーンの課題である「運搬コスト」を回避するロケーション戦略として優れています。 しかし、物語としては「ビル内でグリーン水素を完結させる」と称しながら、実証規模が極めて小さく、事業継続性や経済性のKPIがまだ示されていません。飯野海運の本来業務である海運とのシナジーも記事からは読み取れず、単なる導入事例発表に留まる印象です。ここには、実体(導入事実)は確かだが、物語がその先のインパクトや事業スケールにまで翻訳されていない「実体が翻訳されていない」構造があります。 次の観測点は、この設備が飯野ビルの総エネルギー需要のうち何%を賄うのかという定量目標の開示と、高砂熱学工業との間で誰が建設・運転・保守を担うのかという実行レイヤーの明確化です。

飯野海運は、同社が所有・運営する東京都千代田区の高層複合ビル「飯野ビルディング」にグリーン水素製造・利用設備を導入する。6月18日、高砂熱学工業と設計・施工の請負契約を締結したと発表した。 飯野ビルディングは、地上27階・地下5階・塔屋2階の複合ビルで2014年10月に竣工した。2021年4月から使用電力の一部を再生可能エネルギー由来の非化石証書付き電力に切り替え、2022年5月から屋上に出力58.92kW、予想年間発電量約60MWhの太陽光発電設備を設置した。 今回、屋上に蓄電池、水電解装置、燃料電池を設置する。既設の太陽光発電設備が発電した電力を蓄電池に貯蔵し、水電解装置によりグリーン水素を製造、燃料電池を用いて発電する。また、エネルギー管理システム(EMS)を導入し、各設備を最適に制御することでエネルギーを効率的に運用する。 発電した電力は、平常時・非常時の双方で建物内で活用する。各設備の出力規模や仕様は非公表だが、小規模で実証的な設備となることから、ピークカットやピークシフトといった運用は想定していないと説明している。 東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)が交付する助成金「グリーン水素製造・利用の実機実装等支援事業」を活用する。今後、詳細設計・機器製作・施工を順次進め、2027年3月初旬の引き渡しを経て、同3月中旬から運用を開始する予定。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。

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