再エネ・技術

ADワークス、年内10か所確保へ 系統用蓄電所用地を新たに2件取得

2026-06-22
ADワークスが系統用蓄電所の新たな用地を2件取得し、年内に合計10か所の確保を目指す。背景にはGX本格始動と出力制御の常態化がある。

専門家の視点

ADワークスグループが系統用蓄電所の用地取得を着実に進めています。2026年中に10か所、2027年の稼働開始という目標に対し、今回の2件取得で第8号まで到達したことは、実体の伴った進捗です。ただし、1件あたりの出力約2MW、容量約8MWhという規模感は、市場予測である2030年度4,240億円という「期待」と比較すると、まだ初期段階です。ここでの中心的な構造は「実体と期待の間に開きがあるが、物語で埋めようとしている」点です。具体的には、同社が掲げる用地仕入力や権利調整力という強みは、長期の不動産事業で培われた実体ですが、系統用蓄電所の事業収益性は卸電力市場や需給調整市場の価格変動に大きく依存します。この市場メカニズムの不確実性という実体が、物語の中では十分に翻訳されていません。また、競合のオリックスがプロジェクトボンドを組成したのに対し、ADワークスは自社保有と外部売却の両睨みを掲げますが、出口戦略の成否は市場の流動性次第です。

ADワークスグループは、子会社のエー・ディー・ワークスを通じて、系統用蓄電所 [電力系統に直接接続する大型蓄電池施設] の開発用地として第7号および第8号の取得契約を締結した。同社は2026年中に累計10か所の用地を確保する目標を掲げており、今回の取得により計画は着実に進展している。2027年の稼働開始を目指し、再生可能エネルギーの普及に伴う電力系統の安定化に寄与する方針だ。 2026年現在、日本のエネルギー市場は大きな転換点を迎えている。4月からは改正GX [グリーントランスフォーメーション] 推進法に基づき、排出量取引制度であるGX-ETSが本格始動した。これにより、企業には二酸化炭素排出削減への具体的な行動が求められている。一方で、太陽光発電などの再生可能エネルギーは天候による変動が大きく、供給過剰時に発電を止める出力制御 [再生可能エネルギーの発電を一時的に停止・抑制すること] が全国的に常態化している。 こうした課題を解決するインフラとして、系統用蓄電所への注目が急速に高まっている。国内の蓄電所ビジネス市場は、2024年度の約450億円から2030年度には4,240億円規模へ拡大すると予測されている。競合他社の動きも活発だ。オリックスは2026年4月に系統用蓄電所開発を目的とした100億円規模のプロジェクトボンド [特定の事業の収益を裏付けとした債券] を国内で初めて組成した。また、蓄電池製造のパワーエックスは2026年6月にベトナム向けに約17億円の大型システムを受注するなど、国内外で競争が激化している。 今回ADワークスグループが取得したのは、佐賀県伊万里市(第7号)と栃木県日光市(第8号)の2拠点である。いずれも出力は約2MW、容量は約8MWhの規模を予定している。同社の強みは、長年の収益不動産事業で培った用地仕入力と権利調整力にある。系統用蓄電所の開発には、送電網への接続が容易な土地の確保が不可欠だが、同社はこのノウハウを活かすことで、市場形成期の早い段階から迅速な案件取得を実現している。 本事業は、単に蓄電池を設置するだけでなく、複数の市場での運用を前提としている。具体的には、卸電力市場での価格差を利用した取引に加え、需給調整市場 [電力の需給バランスを調整するための取引市場] や容量市場 [将来の供給力を確保するための市場] への参入を予定している。既に2026年3月に稼働した第1号案件「ADW三重松阪市蓄電所」では、需給調整市場での運用を開始しており、実務的なノウハウの蓄積が進んでいる。 今後は2026年末までに目標とする10か所の用地確保を完遂し、2027年から順次稼働させる計画だ。同社は蓄電所を自社で保有・運用するだけでなく、将来的には開発した案件を外部投資家へ売却し、その後の管理運営を担うアセットマネジメント [資産の管理・運用代行] 事業への展開も視野に入れている。市場の成熟度に合わせて収益モデルを多層化させることで、長期的な事業基盤の構築を目指す。 再生可能エネルギーを主力電源とする社会の実現には、電力の「貯蔵」と「調整」を担うインフラが欠かせない。不動産事業からエネルギーインフラ事業へと領域を広げる同社の取り組みは、脱炭素社会に向けた分散型エネルギーリソース [地域に点在する小規模な発電・蓄電設備] の構築を加速させる一助となるだろう。 出典:ADワークスグループプレスリリース(PR TIMES)

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