GX-ETS第2フェーズの概要と制度対象事業者に求められる戦略的対応 - 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
GX-ETS第2フェーズの概要と、制度対象事業者に求められる戦略的対応について解説している。
専門家の視点
GX-ETS第2フェーズの制度設計は、排出量取引の対象範囲拡大と有償オークションの導入という実体を伴っていますが、肝心の「誰がいつまでに何を変えるのか」という事業者単位の行動計画が制度からは見えてきません。実体としての市場メカニズムは整備されつつある一方で、削減目標の達成手段を各社の自主的な戦略に委ねる構造は、物語の側で「市場が最適配分する」という前提に依存しています。しかし、実際の排出量削減は設備投資や工程変更という長期不可逆な判断の積み重ねであり、短期の価格シグナルだけで動くとは限りません。ここに「期待先行」のリスクがあります。投資家や金融市場は制度開始によるカーボンプライシングの本格化を先取りして評価する一方、現場の実行部隊である事業者は制度の詳細理解と社内合意形成にまだ時間を要しているのが現実です。制度導入のスピードと、実行レイヤーである各企業の準備態勢との間にタイムラグが生じています。次の観測点は、第2フェーズのオークション開始後に実際の取引価格がどの程度形成され、それが企業の具体的な投資判断に結びつくかどうかです。