良質なストックの循環に向け検討/住団連
専門家の視点
住宅生産団体連合会が総会で示した「良質なストックの循環」と「カーボンニュートラル実現」の方向性は、新築住宅着工がリーマン・ショック後に落ち込んだ水準にあるという厳しい市場認識を背景にしています。実体としては、26年度事業計画にカーボンニュートラルやストック整備を重点項目として掲げ、不動産業界団体との意見交換を事務局レベルで始める意向を示した点が具体化の一歩です。しかし、語られ方(ナラティブ)は「両輪」「邁進」といった前向きな表現に終始し、住宅ストックの性能改善にかかる法的課題や査定方法の整備といった手段は示される一方で、具体的なCO2削減目標や投資規模、達成時期といった数値目標は完全に欠落しています。このため、読者や業界関係者は、業界の方向性に対する安心感を得る一方で、実効性を測る指標がないまま「検討中」のまま進むリスクを抱えます。目的(カーボンニュートラル)と手段(ストック循環)の間で、手段そのものが垂れ流しの目標になりかねない点に注意が必要です。
(一社)住宅生産団体連合会は18日、ホテルグランドヒル市ヶ谷(東京都新宿区)で総会を開催。各種議案を審議・可決した。 総会後の記者会見で、同会会長の仲井嘉浩氏は「足下の住宅市場をみると、物価高等の影響により住宅取得環境は厳しい状況が続いており、新設住宅着工を見ても、総戸数がリーマン・ショック直後の水準に戻った。そうした中で、住宅の安全性確保や2050年カーボンニュートラルの実現などに向けた取り組みは急務。住団連として、新築とリフォームを両輪として良質なストック形成に向けて邁進していく」などと話した。 また専務理事の平松幹朗氏は、3月27日に閣議決定した住生活基本計画(全国計画)にストックの利活用・流通に関する内容が多く盛り込まれたことを受け、不動産業界団体との意見交換・情報交換について事務局レベルから行なっていく意向を明らかにした。 3月の理事会で承認された26年度の事業計画では、政策提言・要望活動、調査研究活動のほか、カーボンニュートラル実現に向けた取り組み、良質な住宅ストック整備と住宅循環システムの構築、住生活の向上、住宅産業の生産性向上を重点項目として位置付けた。良質な住宅ストック整備と住宅循環システムに関しては、住宅ストックの性能・品質改善にかかる法的課題への対応や、住宅性能の維持保全状況を反映した合理的な既存住宅査定方法の整備・普及などについて取り組んでいくことなどを盛り込んだ。 なお、同理事会では(一社)住宅開口部グリーン化推進協議会(住宅ストックグリーン化推進協議会に改称)の入会が承認され、団体会員は10団体となった。
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