日本郵船など、新造のレストラン船に燃料電池を採用 - ニュース
専門家の視点
このプロジェクトの構造的な特徴は、水素燃料電池をレストラン船という限定された航路・用途で先行導入しながら、可搬式水素モジュールを採用することで陸上インフラへの依存を最小化した点です。実体として、現状の水素ステーションでの充填を前提とする仕組みは、航路や運航スケジュールに制約をかける一方で、実証のハードルを下げているとも言えます。物語としては「水素社会の実現に向けた第一歩」とフレーミングされていますが、船からの取り外しと充填作業の運用負荷やコスト構造が公開されていないため、実用化への具体的な検証(KPI)が不足しています。期待のレイヤーでは、日本郵船やヤンマーへの「脱炭素先行企業」としての評価が先行しやすいものの、可搬式という選択自体がインフラ整備の遅れを補う対症療法である点を見落としがちです。 中心的なズレは「物語先走り」と「実体が翻訳されていない」の混合型です。レストラン船という非営利目的船での導入事例を、商用船舶への水平展開と安易に結びつける前提には注意が必要です。
日本郵船、ヤンマーパワーソリューション(兵庫県尼崎市)、ENEOS(東京都千代田区)の3社は、2027年に就航予定の新造レストランシップに、船用燃料電池システムを採用する。6月15日に発表した。 同船は、日本郵船が現在、運営中のレストランシップ「LADY CRYSTAL(レディ クリスタル)」の後継船で、全長約48.0×全幅約9.5×喫水約2.1m、総トン数は約480t。運航条件に応じて複数の電力供給源から蓄電池を通じて推進電動機を駆動するハイブリッドシステムで、電力供給源のひとつに、水素を直接、燃料にする燃料電池システムを採用した。発電用ディーゼルエンジンも搭載し、環境に配慮したバイオ燃料の活用などを検討する。 水素燃料電池は、ヤンマーパワーソリューションが設計した。トヨタ自動車の水素貯蔵モジュールから供給された水素燃料を用いて発電する。水素貯蔵モジュールは可搬式で、船から取り外して既存の水素ステーションで水素を充填する。 ヤンマーパワーソリューションとしては、同船が5隻目の導入事例となる。なお、ベースとなるシステムは同じだが、それぞれの船舶の特性やリスク評価に応じて統合的なシステム設計を行っているという。今後は国内を手始めに、欧州・北米・オーストラリア・東アジアなど特にCO2排出に関する規制と、排出削減の利点が大きい地域への展開を目指す。 日本郵船は、水素燃料電池システムの導入にあたり、国土交通省の「水素燃料電池船の安全ガイドライン」に基づき検証し、安全性と信頼性を確認した上で採用を決定した。ENEOSは、東京都内を中心とした水素ステーションでの水素製造・貯蔵モジュールへの水素充填を担当する。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。
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