再エネ・技術

PCIMで感じたGaNパワー半導体競争の変化

2026-06-18
PCIM展示会を通じたGaNパワー半導体の競争変化と、その注目度の高まりを報じている。

専門家の視点

PCIM展示会ではGaNパワー半導体の競争が明らかに熱を帯びていますが、その中心は「量産と市場投入のスピード」であり、基礎性能の差ではありません。実体として、各社が8インチウェハーへの移行や車載向け認証取得を急いでおり、技術の確度は上がっています。しかし物語では「GaNがSiC(炭化ケイ素)を置き換える」というフレーミングが先行し、実際のアプリケーション別の棲み分け(高耐圧はSiC、中低電圧はGaN)が省略されがちです。ここに物語先走りの構造があります。期待のレイヤーでは、投資家やスタートアップが「GaN一択」と過熱し、既存SiCベンダーの地力やサプライチェーンの成熟度を軽視している可能性があります。隠れた前提は「GaNの高出力化が実用フェーズにある」ことですが、信頼性データの長期蓄積や実車での累積走行距離はまだ不十分です。次の観測点は、自動車OEMがGaN採用を「条件付き認証」から「本格量産」に切り替える時期です。その前に、量産歩留まりと寿命データが揃わなければ、期待の過熱は調整局面に入るでしょう。

ここ数年GaNは注目されてきましたが、ことしはさらに際立っていました。 この記事は、2026年6月18日に発行した「モノづくり総合版 メールマガジン」に掲載されたコラムの転載です。 ※この記事は、「モノづくり総合版 メールマガジン」をお申し込みになると無料で閲覧できます。 ドイツ・ニュルンベルクで開催されたパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo & Conference 2026」を取材していて、あらためて窒化ガリウム(GaN)の存在感の高まりを感じました。 もちろん、ここ数年GaNは注目されてきましたが、ことしはさらに際立っていました。展示会全体を見渡すと、AIサーバ/データセンター向け電源を意識した展示が非常に多く、PCIM側も今回初めてAIとデータセンターをテーマにした新たなステージを設けるなど、AIインフラが会場全体の大きなテーマになっていて、GaNがその中核技術の1つとして扱われていました。生成AIの普及に伴いGPUの消費電力は増加を続けており、サーバラック当たりの電力も年々高まっています。こうした中で、電源の高効率化や高電力密度化を実現する技術としてGaNへの期待が急速に高まっています。 会場を歩いていると、至るところでGaNの文字が目に入りました。数年前まではGaN専業メーカーが中心だった印象ですが、ことしは多くの大手パワー半導体メーカーもGaNを大きくアピールしていました。 これまでGaN市場をけん引していたのはInnoscience、NavitasやEPC、Transphorm、GaN Systems、Exagan、Cambridge GaN Devices(以下、CGD)といった専業メーカーでした。しかし市場拡大への期待が高まる中で、大手メーカーが買収などで相次いで事業を本格化しています。代表的なのが2023年にGaN Systemsを買収したInfineon Technologies(以下、Infineon)で、このほかにも2020年にはSTMicroelectronicsがExaganを、さらに直近、2025年にはonsemiもGaN事業への本格参入を表明。これによってパワー半導体トップ3が全てGaN競争に参加した形になりました。 GaN市場では日本勢も存在感を示しています。 Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. All material on this site Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. This site contains articles under license from AspenCore LLC. ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境

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