制度・政策

【EU】EU理事会と欧州議会、EU-ETS2修正で政治的合意。市場安定化メカニズムを強化

2026-06-17
EU理事会と欧州議会が、建築物や道路輸送向けの排出量取引制度(EU-ETS2)の市場安定化メカニズム強化で政治合意した。

専門家の視点

EUのETS2修正は、実体としては建築物と道路輸送というカーボンプライシングがまだ浸透していない部門を対象に、市場安定化メカニズムを強化する措置です。この制度は、排出量の上限を設定し、削減が進まない場合に自動的に排出枠の供給を調整する仕組みで、物理的な排出削減ではなく価格シグナルを通じて行動変化を促す設計です。物語としては、欧州グリーンディールの延長線上で「公正な移行」を強調していますが、燃料費の上昇が市民のエネルギーコストに直結する点が十分にフレーミングされていません。期待のレイヤーでは、市場は先行して炭素価格の上昇を織り込み始めていますが、建築部門の断熱改修やEV普及といった実体の実行レイヤーは依然として補助金頼みであり、制度と現場の時間軸に大きなズレがあります。ここに「物語先走り」の構造を見ます。隠れた前提は「価格メカニズムさえ機能すれば消費者行動は合理的に変化する」という点ですが、エネルギー貧困層の行動制約や規制の執行能力を考慮すると、別の見方として、供給側への直接規制や社会的補償の方が効果的である可能性もあります。

配信元の記事を読む →
← GXニュース一覧に戻る