再エネ・技術

系統接続「待たない」蓄電所、札幌に自前電線2km 台湾社

日本経済新聞 2026-06-15
台湾企業が札幌で系統接続を待たずに自前の電線を敷設する蓄電所事業を始める動きを報じている

専門家の視点

台湾企業が札幌で自前の送電線2kmを敷設し、系統接続の待ち時間を回避する蓄電所事業です。ここには、日本と台湾で系統接続の手続きと投資判断の時間軸に非対称性がある実体が隠れています。日本の系統接続待ちは年平均で数年に及び、これは制度上の物理制約ですが、台湾企業はこの「待つ」という前提自体を問い直し、自前設備という実体で先回りしています。物語としては「系統待ちゼロ」のフレーミングが強調されますが、自前電線の維持・管理コストや、系統側との協調運用の長期的な経済合理性が検証されていません。期待レイヤーでは、こうした先行投資に対する投資家の歓迎と、既存電力会社の系統計画への影響という二つの反応が混在します。ズレの中心は「実体が物語に翻訳されきっていない」点です。自前電線による短期の収益性は示されても、系統全体の安定性という公共性との両立が不透明です。隠れた前提は「系統接続が唯一のルート」という固定観念です。しかし、自前設備を系統の一部としてどう位置づけるかという制度的な議論が抜け落ちれば、個別最適が全体最適を損なう可能性もあります。

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