海水を介して大気中からCO2を回収するDirect Ocean Capture(DOC)システムの基礎技術を確立 | 三菱電機 Mitsubishi Electric
専門家の視点
三菱電機とVTTが共同開発したDirect Ocean Capture(DOC)システムは、海水の酸性化を利用して大気中CO2を回収する基礎技術を確立したと発表しています。実質的には数値目標や具体的な回収コスト、実証スケジュールが示されておらず、海水のCO2濃度が大気の140倍という効率性の強調だけでは技術の現実性は不明です。語り口としては「早期の社会実装」「収益性強化」「既存インフラ統合」といった前向きなフレーミングが支配的で、CCSとCCUの両立や有価資源抽出によるビジネス多様化を謳うものの、環境影響評価やエネルギー消費量などの課題には触れられていません。読者が期待する大規模なCO2除去効果に対し、記事は基礎技術完了という時点を成果として語っており、規模と効果のギャップ、比較基準の恣意性(base-DOCとの対比で自社技術の優位のみ強調)が見られます。また、「パートナーを募る」という主語の曖昧化が、責任範囲や実現時期を不透明にしています。日本企業・GX人材は、技術開発の段階からコスト競争力と環境影響の定量評価を組み込み、実装の現実性を高める視点が不可欠です。
掲載のデータは発表当時のものです。価格・仕様について変更する場合もございます。 海水を介し大気中からCO2を回収する技術の実証機 三菱電機株式会社は、VTT Technical Research Centre of Finland Ltd.(VTTフィンランド技術研究センター、本社:フィンランド共和国、CEO:Kalle Härkki、以下、VTT)と共同で開発を進めてきた、海水を介し大気中からCO2を回収する「Direct Ocean Capture(以下、DOC)」システムの基礎技術開発を完了しました。今後、新たな協業パートナーを募り、開発したシステム、蓄積したデータをもとに実証を進め、早期の社会実装に向けた取り組みを加速します。 当社は、サステナビリティを経営の根幹に据え、社会課題の解決と事業成長を両立する「トレード・オン」の活動を加速するため、既存の事業や組織の枠を超えたサステナビリティの取り組みを包括的、戦略的に推進しています。中でも、カーボンニュートラルやネイチャーポジティブ※1の実現に向けた重要な技術の一つとして、DOCの実用化を目指しています。 海洋CDR(Carbon Dioxide Removal:二酸化炭素除去)の一つであるDOCは、大気と海洋間のCO2濃度差により海洋がCO2を吸収するメカニズムに着目したプロセスです。海水中の溶存無機炭素※2を回収しCO2濃度を低下させることで、大気中から海洋へのCO2吸収が促進され、大気中からCO2を除去します。海水中のCO2濃度は大気中の約140倍(同体積比)であり※3、効率的なCO2の除去・回収手法としてDOCの実現が期待されています。 当社とVTTは、取水した海水に水素イオンを導入して海水の酸性度を一時的に※4上昇させることで、気体になったCO2を回収する「酸性化アプローチ(acid-DOC)」を採用しました。CO2を固体(鉱物性炭酸塩)で回収する「塩基性化アプローチ(base-DOC)」と比較して、CO2の貯留(CCS: Carbon dioxide Capture and Storage)だけでなく、合成燃料や工業原料への変換が容易であり、将来的なCO2利活用(CCU: Carbon dioxide Capture and Utilization)の実現にも貢献します。 また、海水中に豊富に溶け込んでいる有価資源※5をCO2回収の過程で抽出する仕組みの開発も進めており、回収した資源のバリューチェーン構築を進め収益構造の多様化を目指すことで、事業全体の収益性を強化します。 さらに、早期の社会実装に向け、海水淡水化プラントや発電所などの海水取水工程を持つ既存の大規模インフラに統合が容易となる最適なシステム構成を重視した開発を進めています。これにより初期の設備投資を抑制しながら、より効率的で広範な社会実装を目指します。 今後は、沿岸でのフィールド試験に向け取り組みを進めるとともに、新たな協業パートナーを募り、早期実用化および商業化に向けた取り組みを加速していきます。 自然資本の損失を食い止め、回復させること 水中に存在する二酸化炭素、炭酸、重炭酸イオン、炭酸イオンなどの無機炭素化合物の総称 CO2回収後に中和し、環境への影響がない状態で海洋に戻す 経済的価値を持ち資源として流通可能な物質
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