山口県総合計画骨子案 “脱炭素踏まえた産業力と子育て支援”
山口県の新たな総合計画の骨子案に、脱炭素を踏まえた産業力の強化などが盛り込まれた。
専門家の視点
脱炭素を踏まえた産業力の強化と子育て支援を両輪とする山口県総合計画の骨子案は、物語と実体の間に無視できないズレを抱えています。脱炭素を産業力の軸に据えるという物語は明確ですが、その実体として、県内の既存産業(化学・鉄鋼など)の排出量実態や、脱炭素投資を呼び込むための具体的な規制緩和・補助金設計・人材育成計画は骨子案の段階では示されていません。子育て支援との同時掲げも、財源の競合(税収減少期に両方に本格投資できるのか)が検証なしで並列されている点が気になります。ここで問い直すべき隠れた前提は「県が産業の脱炭素化を主導できる」という発想です。実際には、大規模工場の排出削減は本社判断や国のカーボンプライシングに依存し、県が直接コントロールできる範囲は極めて限られます。実体として県の実行レイヤーは設備投資への間接的支援と情報提供にとどまる可能性が高く、物語が先走っている構造です。次の観測点は、この計画がKPIとして「CO2削減量」と「誘致企業数」のどちらを優先し、両立しにくい二つの目標をどう時間軸で仕分けるかです。