環境省、「地域共生再エネ」の優良事例・20件を公開 - ニュース
専門家の視点
地域共生再エネの優良事例20件の公開は、実体としての再エネ導入が進む一方で、そのプロセスで地域との摩擦や環境影響が顕在化している現実への対応策です。物語としては、「地域と共生する再エネ」というポジティブなフレーミングが強く、成功事例の横展開を促す狙いがありますが、KPIや定量的な検証基準は示されていません。期待のレイヤーでは、自治体や事業者にとっては参考情報として歓迎される一方、投資家や市場には直接的なインパクトは限定的です。ここでの構造的なズレは、実体が翻訳されていない点にあります。すなわち、再エネ導入の現場では既に地域共生の試行錯誤が多数行われていますが、それらを体系化し、成功条件や失敗要因を普遍化する情報が不足しています。この事例集が単なる「良い話」で終わらず、制度設計や事業モデルの再評価につながらなければ、物語が実体を先取りした形で消費されるリスクがあります。隠れた前提は「優良事例を増やせば普及が進む」という考え方です。しかし、実際の障壁は、事例の数ではなく、地域固有の合意形成プロセスや利害調整の手間、そしてそれを担う人材の不足です。
環境省は、地域ごとに異なる具体的な課題に再生可能エネルギーを有力手段として活用している地域共生再エネの優良事例「Good Echo(グッド・エコー)」を選定し、地域脱炭素(地域GX)に関する情報を発信するWebサイト「脱炭素地域づくり支援サイト」にて6月2日に公開した。 Good Echoは、(1)地域への貢献(売電収益を地域に還元、または地域ごとに具体的な課題の解決に貢献)、(2)事業プロセス(地域とのコミュニケーションを丁寧に行っている)、(3)自然との共生(大規模伐採を行わないなど、自然環境の保全に配慮)、(4)景観への配慮(周囲の環境に調和するよう、緩衝帯を設けるなど)の4つの観点で地域共生を進める事業を、事業者や自治体とのヒアリングなどを通じて省内で選定した。 選定された地域(自治体)および再エネ事業は以下の20件になる。 北海道下川町では、国産の未利用材を活用した発電出力1.815MW、熱出力2.86MWの木質バイオマス・ガス化発電施設「北の森グリーンエナジー」を2025年に稼働した。三洋貿易、下川運輸(北海道下川町)、大日本ダイヤコンサルタント(東京都千代田区)が共同出資する。 北海道白糠町では、出力30MWの「ユーラス白糠ソーラーパーク」を2014年に稼働し、太陽光発電で得た税収を子育て支援に活用している。発電事業者はユーラスエナジーホールディングス(東京都千代田区)。このほか、町おこしエネルギー(兵庫県加古川市)が出資するソーラーグレージング(営農放牧型太陽光発電所)「白糠ソーラーグレージング発電所」も計画される(関連記事)。 北海道松前町では、全国有数の強風地域であることを活用し、小型風力発電設備が約200基、大型風力発電設備が12基稼働する。出力3.4MWの風車12基から構成される「リエネ松前風力発電所」が2019年に稼働した。発電事業者は、東急不動産が出資する松前ウィンドファーム合同会社。東急不動産は「松前2期風力発電所(仮称)」の開発も進めている(関連記事)。 北海道中標津町では、ゴルフ場跡地を活用して出力31.6MWの「Looop中標津太陽光発電所」が2019年に稼働した。発電事業者はLooop(ループ、東京都台東区)。 岩手県陸前高田市では、ワタミグループが運営する農業テーマパーク「ワタミオーガニックランド」内に、出力506kWの営農型太陽光発電設備(ソーラーシェアリング)を2022年に稼働した。発電事業者は、ワタミグループの再エネ事業会社であるワタミエナジー(東京都大田区)。 栃木県那須塩原市では、自主的に環境影響評価(アセスメント)を実施した上で外周に林地エリアを設けた出力26.2MWの「那須塩原ソーラー発電所」が2015年に稼働した。発電事業者は、レノバが匿名組合出資する合同会社那須塩原ソーラー(関連記事)。 埼玉県所沢市では、西武グループが保有していた遊休農地を活用した出力約989kWの営農型太陽光発電所「所沢北岩岡太陽光発電所(西武アグリパーク所沢)」を2021年に稼働した。発電・営農事業者は、西武グループの農業事業会社である西武アグリ(埼玉県所沢市)(関連記事)。 千葉県匝瑳市では、市民出資型による出力35kWの営農型太陽光発電「匝瑳第一市民発電所」を2014年に稼働した。発電事業者は市民エネルギーちば(匝瑳市)。また、市民エネルギーちばなどが出資するSPCが出力約2.7MWのメガソーラーシェアリング「匝瑳おひさま発電所」を2023年に稼働した(関連記事)。 長野県王滝村では、スキー場跡地に出力約2.9MWの「王滝村スキー場跡地(ゲレンデ上)太陽光発電所」を2021年に稼働した。発電事業者は王滝村太陽光発電事業合同会社。アセットマネジメントは自然電力(福岡市)が担当した(関連記事)。 三重県四日市市では、5年間にわたる環境アセスを含む地域との協議を経て、棚田地形を復元したビオトーブを盛り込んだ出力約21.6MWの「四日市ソーラー発電所」を2019年に稼働した。発電事業者は、レノバが匿名組合出資する合同会社四日市ソーラー。 大阪府泉佐野市では、3つの農業用ため池を活用し、合計2.797MWの「泉佐野市長滝第1・第2水上太陽光発電所」を2023年に稼働、出力1.932MWの「泉佐野市郷之池水上太陽光発電所」を2024年に稼働した。発電事業者は三井住友建設。 兵庫県豊岡市では、「コウノトリを育む農法」を導入する農地に、出力311.4kWの営農型太陽光発電設備を2019年に稼働した。発電した電力は、小売電気事業者のUPDATER(東京都世田谷区)を通じて、パタゴニア日本支社などに供給する。発電・営農事業者は坪口農事未来研究所(兵庫県豊岡市)。 岡山県瀬戸内市では、塩田跡地に出力235MWの「瀬
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