ISSB、人的資本開示の調査を継続――投資家ニーズや実務課題を検証
専門家の視点
ISSBは人的資本開示の国際基準化に向けた調査を継続しており、年内に基準化の可否が決定される見込みです。実体としては、現時点で新たな開示義務は生じていませんが、投資家ニーズや企業負担、国際比較可能性、保証可能性といった5つの論点で検討が進んでいます。語られ方としては、定量指標と定性要素の両方を重視しながらも、各国の雇用制度の違いや監査・保証の困難さを課題として挙げ、慎重な姿勢が強調されています。一方、読者や業界は、投資家が求める人的資本情報の比較可能性と、企業が直面する開示負担との間に葛藤を抱えており、国内制度との整合性を気にしています。ここでは「主語の曖昧化」が認められます。「国際基準として扱うべきか」と問いながら、基準化の推進主体がISSBであるにもかかわらず、最終決定の責任が曖昧に語られています。また、企業価値に影響を与えるリスクと機会という枠組みで人的資本を捉えることで、従業員自身の利益よりも投資家視点が優先されがちな点には注意が必要です。
6月10日、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、IFRS財団のデュープロセス監督委員会(DPOC)において、投資家ニーズや実務負担、用語の定義、保証可能性などの論点について調査を進めていることが報告された。現時点で基準開発の決定ははっきりしていないが、人的資本開示を国際基準として扱うべきかどうか、検証が続いている。 人的資本は、ISSBが2024〜2026年のアジェンダで優先的に進めている研究テーマの一つであり、対象には自社従業員だけでなく、バリューチェーン上の労働者も含まれており、人材確保や離職、人材育成、安全衛生、ウェルビーイングなど、企業価値に影響を与える人的資本関連のリスクと機会が検討対象となっている。 検討対象として示されたのは、以下の5つの論点である。 人的資本開示では、離職率や研修時間といった定量指標だけでなく、エンゲージメントや組織文化、人材育成といった定性的要素も重要視される。しかし、各国で雇用制度や労働法制が大きく異なることから、国際基準として比較可能な開示要件を設計することは容易ではない。また、監査・保証の観点からも、どのような定義や測定方法で開示を求めるかが重要な論点となるだろう。 今回のDPOC報告より、投資家ニーズ、企業負担、保証可能性、国際的な比較可能性といった論点への整理が進んでおり、年内までには基準化の可否が決定されるだろう ISSBにおいて、人的資本は、自然関連開示と並ぶ重要テーマである。すぐに新たな開示義務が生じる状況ではないものの、国内の人的資本開示との整合性や、人材戦略と企業価値の関連性を説明するための情報整備を進めることが、投資家ニーズや制度対応に向けた準備となりそうだ。 原文:Due Process Oversight Committee ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!人的資本開示法改正により開示の高度化が進んでいます。ぜひこの機会に自社の実務対応を再確認してください。🌍人的資本開示への対応に関連する実務解説はこちら>>> ✅SSBJ基準に基づく開示と人的資本開示の違い✅有価証券報告書内での整理 ✅今後の改訂スケジュール✅基準の改訂ポイント解説 ✅人的資本と経営戦略の結合の説明の実現方法を解説✅拡充の対象となる項目に対応する実務上の対応例
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