描けぬ「脱炭素時代」の成長戦略 要となる洋上風力発電で劣後 | ビジネス - 東洋経済オンライン
専門家の視点
三菱重工がスペースジェット撤退後に示した新たな成長戦略が洋上風力発電であるという前提ですが、この記事が写す構造は「実体欠落」です。発表された中期経営計画で利益率目標を掲げる一方、成長の核となる洋上風力の具体的な投資規模や収益計画、技術的優位性の説明が本文からは見えてきません。過去の大型投資の失敗が大きいため、今度こそ確実な成長エンジンを示さねばならない局面で、物語(説明)が実体(具体策)に追いついていない状態です。ここで問い直したい隠れた前提は、「水素を極める」という別コラムの掛け声が、この三菱重工の洋上風力戦略とどの程度接続しているのか、という点です。両者は技術領域もサプライチェーンも異なり、一貫した脱炭素戦略として機能するかは不明です。日本企業のGX戦略にありがちな、過去の大型投資の失敗を踏まえずに「次の旗」を掲げる態度が、今回も繰り返されている可能性があります。時間軸で言えば、洋上風力は導入までに10年単位のリードタイムがかかるため、2024年までの中期計画で成果を出すのはほぼ不可能です。
日本の近代化とともに成長し、戦後の経済復興を支えてきた三菱グループの中核企業、三菱重工業が行き詰まっている。 グループ創業150年にあたる2020年10月に発表した2024年3月期までの中期経営計画では、これまでに総額1兆円を投じた次代の成長戦略の要である小型旅客機「三菱スペースジェット」の開発から事実上、手を引く決断をした。だが、スペースジェットの代わりの成長エンジンは見当たらない。 今回発表した中期経営計画では、2021年3月期に1%の事業利益率(見通し)を2024年3月期に7%へ引き上げる目標を掲げた。一方、2021年3月期までの3年間に3700億円を費やしたスペースジェットに関する開発費は、2024年3月期までの3年累計で200億円にとどめる。これでは大規模な飛行試験はできず、事実上の撤退と言える。 「水素を極めるものがエネルギービジネスを制する」 インタビュー/三菱パワー 河相健社長 「独りよがり」から離陸できるか スペースジェット「開発凍結」の波紋 本文の内容に基づいた記事をピックアップしています
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