蓄電池、脱炭素と経済安保の中核へ 国内基盤強化が加速 - ESG Journal
蓄電池が脱炭素と経済安全保障の中核技術として位置づけられ、国内の製造・供給基盤強化が加速している。
専門家の視点
蓄電池の国内基盤強化が加速する一方、その「加速」はどこで計測されるのか、という構造的論点が潜んでいます。実体として、政府の補助金や企業の投資計画は確かに増えており、経済産業省の「蓄電池産業戦略」は2023年に策定され、2030年までに国内製造能力を150GWhに引き上げる目標が示されています。しかし、物語は「中核技術」というフレーミングで統一されながら、誰が、いつ、どの規模で生産を始めるのかという実行レイヤーの具体性が薄いのが実情です。期待先行の構造といえます。市場では、EV需要の鈍化や材料価格変動への懸念から投資判断が慎重化しており、政治・行政の「経済安保」強調と企業の収益性評価との間にズレが生じています。ここで問い直すべきは、蓄電池の国内基盤強化が「自前主義」で進めば、国際分業の効率性や資源確保のリスクを軽視することにならないかという点です。次の観測点は、2030年目標に対して各社の量産開始時期が一致しているかどうかです。官民のスケジュール感にずれがある限り、蓄電池は「脱炭素と経済安保の中核」という物語に実体が追いつかない状態が続きます。