米国産ガスに世界が殺到 ドイツも脱炭素からエネルギー安保重視へ - 日本経済新聞
ドイツが脱炭素からエネルギー安全保障重視へと政策転換し、米国産ガスへの需要が世界的に高まっている。知っておきたい米産ガス巡る動き
専門家の視点
米国産ガスへの世界の殺到とドイツの政策転換は、実体と物語の間に明確なズレが生じている構造です。実体としては、ロシア産ガス離れという物理制約のもと、米国産LNGが短期的なエネルギー安保を満たす経済合理性を持っています。しかし物語は「脱炭素からエネルギー安保重視へ」とフレーミングすることで、両者が二者択一であるかの印象を与えています。実際には、ドイツは再生可能エネルギーへの巨額投資を継続しており、ガスは移行燃料として位置づけられています。ここにあるのは「物語先走り」の構造です。つまり、政策の方向性がガスシフト一色であるかのように語られる一方で、実体としての脱炭素投資は並行して進んでいます。環境団体や一部投資家の期待は過度に萎縮し、ガスインフラがロックイン効果を生むリスクを直視できていない可能性があります。隠れた前提は、エネルギー安保と脱炭素が本質的に両立しないという点ですが、実際には需要側の省エネと供給側のグリーン水素開発が長期整合性の鍵です。次の観測点は、ドイツがLNG基地をどの程度グリーン水素対応にするかという時間軸の判断です。