経営ひと言/日本化学工業協会・橋本修会長「GX推進を深化」
日本化学工業協会の橋本会長が、化学産業におけるGX推進の深化について発言した。
専門家の視点
化学産業のGX推進において、橋本会長の発言が示すのは「深化」という言葉の重みです。実体として、化学産業はエネルギー多消費型であり、原料転換やプロセス革新に巨額の投資と長いリードタイムが不可欠です。他方、物語としては「GX推進」という方向性が掲げられていますが、具体的なKPIや達成期限、技術ロードマップが記事からは見えません。ここに「物語欠落」の構造があります。数字や制度の存在がうかがえないため、何を目指すのか、その経路が不透明です。期待としては、政府のGX政策や市場の関心は高いものの、化学産業の実体(既存設備の償却、サプライチェーンの複雑さ、競争力維持)と物語の間には依然として大きなズレがあります。隠れた前提は「産業界が自発的にGXを深化できる」という点です。しかし、エネルギー価格高騰や国際競争の現実を踏まえると、持続可能な移行には補助金やカーボンプライシングなどの制度的後押しと、産業ごとの具体的な実行計画が同時に必要です。物語を実体に近づけるための次の観測点は、日本化学工業協会が今後、業界としての定量目標とタイムラインをいつ、どのように示すかです。