日本の関連売上高を2035年に3倍へ 新たな「蓄電池・電源産業戦略」の内容とは?
専門家の視点
EV・系統用蓄電池の市場が急拡大する中、日本政府は「関連売上高を2025年から2035年にかけて3倍にする」という目標を掲げた新たな戦略を打ち出しました。ここで問うべきは、数字の大きさではなく、実行レイヤーが明確かどうかです。実際のところ、この戦略には「誰が」「どのタイミングで」「どの工場で」量産するのかという具体像が乏しく、物語(2035年に3倍)に対して実体(現状の生産能力・設備投資計画)の追いつきが不十分な「物語先走り」の構造が潜んでいます。 特に隠れた前提は、日本の蓄電池産業が技術優位性を維持し続けられるという点です。しかし、既に中国・韓国勢が圧倒的な量産スケールでコスト競争力を確立しており、国内生産だけでは価格競争に敗れるリスクが無視できません。制度面での補助金や規制緩和が導入されても、導入スピードと人材・設備の実装が追いつかなければ、目標は絵に描いた餅になります。 次の観測点は、合弁企業や共同研究など具体的な実行体制の発表と、その実証スケジュールの現実性です。
EVや電力系統向けなど幅広い産業における重要技術・製品である蓄電池。世界的な開発競争の激化や国際規制など市場環境の変化が急速に進む中、「蓄電池産業戦略検討官民協議会」は新たな「蓄電池・電源産業戦略」を策定した。 蓄電池は自動車の電動化や再エネの主力電源化を達成するための重要な技術であり、グローバルな競争はますます激化している。 リチウムイオン電池(LIB)の世界市場は、2025年の23兆円から、35年に46兆円(約2倍)、40年に55兆円(約2.4倍)の規模に成長するとの試算もある一方、各国の政策変更や事業環境の変化を受け、各機関による推計値には大きなバラツキも生じている。 「蓄電池産業戦略検討官民協議会」では、日本の蓄電池産業界が再び競争力を取り戻すための方策について議論を行い、2022年8月に「蓄電池産業戦略」を策定し、その目標達成に向けた国の施策や民間企業等による取り組みの具体化が進められてきた。 また、2023年9月には「蓄電池産業戦略推進会議」が設置され、蓄電池産業戦略の進捗状況が報告されてきたが、世界的に蓄電池を取り巻く環境は大きく変化している。このため同会議では、蓄電池を中心とした総合的な蓄電ソリューションを提供する産業としての競争力強化に向け、新たに「蓄電池・電源産業戦略」を2026年6月に策定した。 蓄電池産業戦略(2022年8月)では、その「1st Target」として、「液系LIBの製造基盤の確立」を掲げており、具体的には、遅くとも2030年までに蓄電池・材料の国内製造基盤150GWh/年の確立を目標としている。 蓄電池は「経済安全保障推進法」に基づく特定重要物資に指定されており、「蓄電池等の安定供給確保のための取り組みに関する計画(供給確保計画)」が認定された事業者は、国による助成を受けることが可能である。現時点の認定件数は蓄電池7件、部素材27件、製造装置8件に上り、政府支援策によらない投資分を含め、蓄電池の国内製造基盤は100GWh/年以上に増強される見通しである。 Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. 建設をエネルギーとICTで変える「BUILT」オープン!! 【特集】改正FIT法で対応必須! 太陽光発電の運用保守 ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境
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