【国際】IATAとICAO、SAFによるGHG削減で連携強化。燃料会計システムの高度化検討も
専門家の視点
国際航空分野のSAF普及には、実体と期待の間に明確なズレがあります。実体として、現在のSAF生産量は航空燃料全体の0.1%未満であり、技術的には達成可能でも経済合理性のある大規模生産設備はほとんど存在しません。一方、IATAとICAOの連携強化という本記事の物語は、グローバルな枠組み構築と会計システムの高度化に焦点を当て、足元の生産キャップという実体を軽く扱っています。ここにあるのは物語先走りの構造です。隠れた前提は「国際機関の調整が整えば供給が増える」というものです。しかし、本当の制約は制度ではなく、SAF製造にかかる現状のコストと、それを負担する「誰が実行するのか」という実行レイヤーの欠落にあります。航空会社が購入意志を示しても、長期オフテーク契約に対応できる化学プラントの建設リードタイムは5年以上であり、時間軸が極めて長いのです。この協力強化が実効性を持つためには、IATAとICAOの合意文書だけでなく、各国政府がSAFに投資する際の収益保証やリスク分担の仕組みを同時に動かす必要があります。次の観測点は、この発表後に実際に新規のSAFプラント建設決定が伴うかどうかです。
国際航空運送協会(IATA)と国際民間航空機関(ICAO)は6月2日、持続可能な航空燃料(SAF)の開発と普及を加速させるための協力を強化すると発表した。 ICAOは、国際航空分野において2050年ネットゼロを目指す長期的な世界共通の野心的目標(LTAG)を採択している。IATAも航空業界として2050年ネットゼロを掲げており、その実現に向けてSAFの大幅な普及が重要な手段と位置づけられている。 一方で、SAFの生産から流通、実際の使用に至るまでのサプライチェーンを可視化し、それによる排出削減量を正確に把握・報告するための国際的で一貫した基準づくりが急務となっている。 今回の発表では、両機関が強固なシステムと高品質なデータに基づき、業界と各国の政府間の緊密な協力を促進する。具体的には、IATAが開発し、民間航空脱炭素化機構(CADO)が運営する「CADO SAF Registry」によって収集されるデータが、ICAOが定めるLTAGの監視・報告(LMR)方法論の実施をどのように支援できるかを探る。さらに、国際航空における温室効果ガス排出量を正確に算定するための国際的な燃料会計システムの検討においても両者が協力していく。 【参考】【国際】IATA、SAF登録簿「SAFレジストリ」公開。34社が登録完了。需給マッチング加速(2025年4月5日) 【参照ページ】IATA-ICAO Deepen Cooperation on Boosting Sustainable Aviation Fuels ※ 閲覧チケットは翌月への繰り越しはできません。 【無料会員向け】有料記事の閲覧チケットの詳細はこちら 株式会社ニューラル サステナビリティ研究所
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