インフラ整備・運用「緩和と適応」 CNでレジリエントに 土木研が提言 - 環境新聞社
土木学会がカーボンニュートラルとレジリエンスを両立する社会づくりに向けたプロジェクトを提言
専門家の視点
土木学会が掲げる「カーボンニュートラルでレジリエントな社会」というプロジェクトは、気候変動への「緩和」と「適応」という二つの軸を同時に追求する姿勢自体は理にかなっています。しかし、ここで問われるべきは、この提言が「誰が」「どの予算と制度のもとで」実行するのかという実行レイヤーの具体性です。インフラ整備と運用には長期の時間軸と巨額の投資が不可欠であり、提言の段階では「物語」が先行しやすい構造にあります。特に、日本の社会資本の老朽化と人口減少という「実体」を前に、CN対応と防災強化の両立を既存の制度枠組みで実現できるのかという点が隠れた前提です。現状、国土強靱化とGX投資は別々の財源と省庁管轄で動いており、統合的な実行主体が欠けています。土木学会の提言は「実体が翻訳されていない」パターンに該当し、現場の技術者や自治体が具体策に落とし込めるかどうかが次の観測点です。このプロジェクトが示す方向性は正しいものの、肝心の「誰が実施するのか」という実行レイヤーが不在のままでは、期待だけが先行するリスクをはらんでいます。